2017 Fiscal Year Research-status Report
聴覚野の機能的非対称性は生得的か:NIRSを用いた人工内耳装用児の脳機能画像研究
Project/Area Number |
17K11326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 博司 京都大学, 医学研究科, 医員 (80536243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳機能画像 / 聴覚 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人工内耳により初めて聴覚入力を受ける先天性高度難聴児を対象とし、人工内耳術後の聴覚野の機能的非対称性を、光トポグラフィー(fNIRS)を用いて経時的に評価し、聴覚野機能の左右非対称性が生得的か習得的かを明らかにすることである。そこで、平成29年度はまずfNIRS検査を用いて脳機能の左右差を評価可能かを検討した。実験では、10名の健聴成人被験者を対象に9音節の無意味単語を音声提示し、提示された音韻情報を12秒間無声復唱で保持するように指示した。そして、刺激提示時および無声復唱時の左右側頭葉、左右前頭前野、後頭葉の脳血流の変化を、fNIRS(LABNIRS、島津製作所)を用いて計測した。同じタスクを用い、fMRIで脳機能の左右差を検討した前実験では、音声刺激時は両側の側頭葉が賦活化されるが明らかな左右差を認めず、無声復唱時では左前頭前野が優位に賦活化される結果となった。一方、今回のfNIRSの結果では比較的感度が低いと言われる被験者ごとの解析でも、10名中6名で明確な脳血流の変化を計測できた。しかし、無声復唱時の前頭前野における脳血流変化の左右差は極めて微細であった。被験者ごとのfNIRS計測条件の左右差を補正するために、音声刺激時の側頭葉における脳血流変化の左右差との比率を算出すると、無声復唱時の前頭前野における脳血流変化の有意な左右差は検出できなかった。この結果は、少なくとも成人被験者で音声刺激を用いて脳血流変化の左右差を評価する脳機能画像検査として、fNIRSはfMRIよりも感度が低いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、成人被験者を対象とし、fNIRSを用いて音声刺激提示時の脳血流の変化を評価するという点では一定の成果が得られた。しかし、脳機能の左右差の評価という点ではfNIRSは予想以上に感度が低いことが明らかとなった。申請者は、タスクの回数を増やしてfNIRSの感度を向上させることを試みたが、明らかな改善を認めなかった。平成29年度では、fNIRSでも脳機能の左右非対称性を検出できるタスクを作成することができなかったたため、現在までの進捗状況は「やや遅れている」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目的は、人工内耳により初めて聴覚入力を受ける先天性高度難聴児を対象とし、聴覚関連脳機能の非対称性が生得的か習得的かを明らかにすることである。そのため、脳機能評価の手段としてfNIRSは感度が低すぎて不向きな場合、他の検査手段も考慮する必要がある。人工内耳は磁石を内蔵しており、fMRIや脳磁図は施行不可能で、人工内耳装用者を対象とした脳機能画像検査はfNIRSと多チャンネル脳波計測(EEG)の2種類しか報告されていない。申請者は、健聴小児を対象とし、EEGを用いて側頭葉の機能非対称性の研究を行った経験があり、本研究でもfNIRSだけでなくEEGを用いる方針とした。幸い、申請者が用いているLABNIRSはEEGとの同時計測が可能であり、fNIRSとEEG両方を脳機能画像検査として用いることで脳機能の左右非対称性を検出できる可能性を高めるように工夫する。
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Causes of Carryover |
H30年度に研究参加して頂く患者被験者に対する謝金の一部として使用する計画である。
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Research Products
(5 results)