2017 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ遊走阻止因子を介した中耳炎症性疾患の病態解明と新規治療戦略の確立
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17K11329
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
假谷 伸 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10274226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 貴哉 岡山大学, 大学病院, 助教 (30587407)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サイトカイン / 中耳炎 / 炎症 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスの中耳腔にエンドトキシンを経鼓膜投与することによって実験的中耳炎を発症させ、化膿性中耳炎のモデルマウスとして用いた。また、同様に卵白アルブミンと水酸化アルミニウムの腹腔内投与で全身感作させた後、卵白アルブミンを鼓室内投与することにより好酸球性中耳炎モデルマウスを作製した。マクロファージ遊走阻止因子ノックアウトマウスにも同様の処置を行った。対照群のマウスの中耳腔には生理食塩水を注入し、コントロールとした。マウス中耳腔を生理食塩水で洗浄し、回収された洗浄液をサンプルとしてサイトカインアレイ解析を行った。インターロイキン(IL)-1、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-17、IL-31、IL-33、KC、MCP-1、TNF、VEGF、IFN、MIP-2など、マウスのサイトカイン・ケモカインに重点をおいた市販のサイトカインアレイを用いて検討を行ったところ、エンドトキシン投与群のマウスにおいてIL-1、TNF、VEGF、IFN、MIP-2など、多数のサイトカイン産生が亢進していた。また、それらの炎症因子はマクロファージ遊走阻止因子ノックアウトマウスにおいて産生が低下していた。 ヒト好酸球性中耳炎症例の中耳貯留液や炎症性肉芽、ヒト慢性化膿性中耳炎症例の中耳組織などの臨床検体を採取した。正常コントロールとしては、中耳に炎症を認めない症例で、人工内耳手術を行う際に採取した中耳組織を用いた。マウスの検討で産生が亢進していたサイトカインについて遺伝子レベル及びタンパクレベルで検討を行ったところ、中耳炎症例ではコントロール症例と比較して有意に産生が亢進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな実験機器のトラブルもなく、概ね順調に計画は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症経路をブロックする中和抗体や阻害因子をマウスや培養細胞に投与することによって、それぞれの炎症因子の役割をより詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
物品を購入する際に業者間比較を十分に行ったことなどにより、予定額よりも購入額を抑えることが可能であったため、次年度使用額が発生した。次年度の物品費と合わせて、適切に使用する予定である。
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