2017 Fiscal Year Research-status Report
ホスホリルコリン経鼻免疫追加によるあらたな肺炎球菌ワクチン接種プログラムの開発
Project/Area Number |
17K11335
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
間世田 佳子 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (70535666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地村 友宏 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (10709596)
川畠 雅樹 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (30585112)
永野 広海 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60613148)
黒野 祐一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80153427)
大堀 純一郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (90507162)
井内 寛之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90645285)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / 小児中耳炎 / PCV13 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、定期接種となったPCV13のワクチン接種に、我々がこれまで報告してきたphospholile choline(PC)に対する経鼻免疫を加えることで、PC特異的な分泌型IgA(SIgA)を上気道に誘導する。また、メモリー細胞を活性化することで免疫誘導が可能なCpG-ODNとplasmid flat3 ligand(pFL)をアジュバントとして用いることにより、PCV13で得られた抗原特異的メモリー細胞を賦活化し、SIgAをも誘導する。そしてこれらの結果をもとに全身免疫のみでなく粘膜免疫を誘導し、より広範囲の肺炎球菌およびインフルエンザ菌感染症に有効なワクチン開発を目的とする。そのため、本研究では、PCV13の全身免疫後にPCの経鼻免疫を追加することで、広域の肺炎球菌、インフルエンザ菌に対する上気道感染の防御効果が上昇するか否かについて検討する。具体的には、PCV13を腹腔投与して全身の特異的IgGを誘導したのち、PCの経鼻免疫を行い鼻洗浄中のPC,PCV13特異的免疫応答を観察する。つぎに、PC経鼻免疫時にアジュバントとしてCpG-ODN, pFLを用いることでPC, PCV13に対する免疫応答を観察する。良好な免疫応答を確認したのち、肺炎球菌、インフルエンザ菌の感染実験を行い、中耳、鼻腔、肺、敗血症の感染予防効果を測定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の全身免疫後にホスホリルコリン(PC)を経鼻投与することで、肺炎球菌に対する免疫応答のブースター効果が得られるかを検討した。マウスにPCV13を腹腔内投与し、その2週後に再度PCV13を腹腔内投与した群(PCV13全身免疫群)とPC-KLHを粘膜アジュバントとしてコレラトキシンとともに経鼻投与した群(PC経鼻免疫群)とで、ワクチン株である肺炎球菌およびPCに対する全身免疫と粘膜免疫応答を比較した。その結果、ワクチン株の肺炎球菌に対する血清IgG抗体価はPCV13全身免疫群とPC経鼻免疫群は同等で、PCに対する血清IgG抗体価はPC経鼻免疫群のほうがPCV13全身免疫群よりも有意に高値であった。また、鼻腔洗浄液中のPC特異的IgA抗体価および鼻粘膜内のPC特異的IgA産生細胞数も、PC経鼻免疫群のほうがPCV13全身免疫群よりも有意に高かった。以上の結果から、PCV13の全身免疫後にPCの経鼻免疫を行うことで、PCV13の2回全身投与と同等の肺炎球菌に対する免疫応答が得られ、さらにPCに対する全身および粘膜免疫応答も誘導できることがわかった。したがって、現在定期接種になっているPCV13の免疫後にPC経鼻ワクチンを投与することで、全身追加免疫と同等のブースター効果とともにPC特異的粘膜免疫応答も誘導され、PCV13に含まれない血清型の肺炎球菌に対しても感染防御効果が得られることが示された。本結果の一部を、平成30年第36回 日本耳鼻咽喉科学会免疫アレルギー学会で一般演題として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究予定として、本年度に明らかとなった、経鼻ブースターによる効果を他のアジュバントを用いて検討する、また肺炎球菌、インフルエンザ菌の感染実験を行い、中耳、鼻腔、肺、敗血症の感染予防効果を測定することを予定している。具体的には、コレラトキシンを用いて行った経鼻ブーストを、CpG-ODN、poly(I:C)、plasmid Flt3を用いることで同様の結果が得られるかについて検討するとともに、肺炎球菌株、インフルエンザ菌を用いた感染実験を行い、感染防御に働くか否かについて検討を行う。
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Research Products
(2 results)