2018 Fiscal Year Research-status Report
耳鳴発生時の内耳細胞内分子動態の解明と内耳を舞台とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K11340
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
北原 糺 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30343255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡安 唯 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10596810)
山下 哲範 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (50588522)
阪上 雅治 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (50745437)
伊藤 妙子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60623486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 耳鳴 / サリチル酸 / 逃避行動実験 / らせん神経節 / 音響外傷 / 蝸牛有毛細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
サリチル酸の大量投与によりヒトおよび小動物に耳鳴を引き起こすことが、以前より電気生理学的に報告されていた。2017年度、我々はアクリル板で仕切られた入れ物の底面に微弱な電流を流す、動物行動学的逃避実験装置を用いて、ラットを用いたサリチル酸耳鳴動物モデルの作成に成功した。 2018年度はこれを受けて、逃避行動実験を用いてサリチル酸耳鳴が16kHz、60dBに近似していることを証明した。同様の実験系を用いて音響暴露下での耳鳴を検索した。同様の実験系を用いるためには、条件付けの外部音を感知可能出なければならないため、まず蝸牛有毛細胞が50%前後壊れる音響レベルを調整した。 それに並行して、同様の実験系を用いてアミノグリコシド系抗菌薬による内耳障害下での耳鳴を検索した。まず蝸牛有毛細胞が50%前後壊れるカナマイシン濃度、ゲンタマイシン濃度を調整した。 サリチル酸耳鳴、音響外傷による耳鳴、アミノグリコシド内耳障害による耳鳴という、異なる3種類の耳鳴動物モデルにおける、らせん神経節細胞内シグナル伝達機構の相違を、免疫組織化学法により検索した。抗体として侵害受容体TRPV1を用いたが、音響外傷とアミノグリコシド内耳障害の薬物濃度と蝸牛有毛細胞障害度との調節に、もう少し時間がかかると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
逃避行動実験を用いてサリチル酸耳鳴が16kHz、60dBに近似していることを証明できたことを受け、同様の実験系を用いて音響暴露下での耳鳴を検索したが、音響レベルと蝸牛有毛細胞の残存率が予想外にばらついた。条件付けの外部音を感知可能出なければならないため、蝸牛有毛細胞が50%前後壊れる音響レベルを調整する必要があり、現在も実験継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、本科研費3年間による耳鳴研究の全体像は、サリチル酸耳鳴、音響外傷による耳鳴、アミノグリコシド内耳障害による耳鳴の異なる3種類の耳鳴動物モデルを作成し、耳鳴の大きさと周波数の相違、らせん神経節細胞内シグナル伝達機構の相違を検索すること。さらにそれぞれの耳鳴に対して、臨床診療で有効性が示唆されているいくつかの漢方薬を投与し、耳鳴動物行動の変化を見ること。 音響外傷による耳鳴動物モデルの調整が困難な場合、2017年度に確立したサリチル酸耳鳴動物モデルに対する薬物効果を先に見るなど、検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本科研費3年間による耳鳴研究の全体像は、サリチル酸耳鳴、音響外傷による耳鳴、アミノグリコシド内耳障害による耳鳴の異なる3種類の耳鳴動物モデルを作成し、耳鳴の大きさと周波数の相違、らせん神経節細胞内シグナル伝達機構の相違を検索すること。さらにそれぞれの耳鳴に対して、臨床診療で有効性が示唆されているいくつかの漢方薬を投与し、耳鳴動物行動の変化を見ること。 音響外傷およびアミノグリコシドによる耳鳴動物モデルの調整が困難な状況だったため、サリチル酸耳鳴動物モデルに対する薬物効果を先に検討したこと等の理由による。
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Research Products
(10 results)