2017 Fiscal Year Research-status Report
小児滲出性中耳炎の外科治療の適正化のために:難治例診断と新しい外科治療法の検討
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17K11342
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 真人 自治医科大学, 医学部, 教授 (50283106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児滲出性中耳炎 / 外科治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
外科治療が必要な難治・遷延例の鑑別診断法を確立することを目標に、診断についての臨床研究を開始した。さらに、治療についての臨床研究に向けての倫理委員会への研究申請の準備を行っている。 小児滲出性中耳炎新鮮例について、聴器単純レントゲン撮影、聴覚検査(ワイドバンド・ティンパノメトリ検査、乳幼児聴力検査、アブミ骨筋反射検査、必要ならASSR検査)、耳管機能検査、を施行してる。レントゲンによる乳突蜂巣の発育程度の判定は、Aokiらに準じて蜂巣発育が中頭蓋窩底を越えているかどうかを目安とする。ワイドバンド・ティンパノメトリはアブゾーバンスの測定により、従来のティンパノグラムで確認が不可能だった中耳滲出液の状態についても、補助的情報を得ることができる。観察期間中の治療は本邦ガイドラインに準じて行なうので、今回の診断研究が実際の治療に与える影響はない。 手術適応と判断された症例は順次手術加療を行ない、手術治療が必要となった症例は難治・遷延例と判定し手術までの期間を検討材料とする。手術を行わなかった症例では発症後治癒まで要した期間期間をもって難治・遷延例の程度を分類する。 難治・遷延群と早期治癒群において、臨床検査所見と検体検査所見との関連性を多変量解析にて分析して、関連性の高い検査項目を抽出する。これら関連性の高い検査項目の組み合わせで、最も難治・遷延群との相関が高い検査項目の組み合わせを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重症度の判定にあたってのデータ蓄積は順調に進んでいる。 新規治療法の開発についての臨床研究開始にあたり、ガイドライン変更の過度期でもあったことから、倫理委員会等の申請書類の作成にやや時間が取られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
鑑別診断法に関する臨床研究を、31年までの今後の2年間でデータ集積・解析を行う。治療についての臨床研究「レーザー鼓膜開窓術とステロイド鼓室内投与を組み合わせた外科治療」は前倒しして、30~32年度にかけて実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初ワイドバンドティンパノメトリをリース契約で使用を予定していたが、購入が必要となったため、次年度助成金と合わせて設備備品として購入を予定している。そのため他の使用予定を変更し、中耳貯留液採取用タップ、解析装置などは備蓄品を用いることにした。
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