2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of insulin on maturation process of newly generated olfactory sensory neurons
Project/Area Number |
17K11354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00555865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40334370)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嗅覚 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
嗅細胞は、鼻腔内でウイルスや各種外来抗原に直接暴露されているため容易に障害を受ける。嗅上皮では毎日古くなった嗅細胞が死んでいき、その代わりに新しい嗅細胞が次々に産生される。したがって既存の古い細胞が失われても、新しい細胞が失われた細胞の機能を補えば、嗅覚が一時的に失われてもいずれ元に戻ることが期待される。しかし、どのような因子が嗅上皮修復に重要な役割を果たしているのかは十分に解明されていない。インスリンは糖代謝に関わるペプチドホルモンである。しかし、インスリンシグナルが嗅上皮において嗅細胞の細胞動態にどのような影響を与えているのかについては不明であった。本研究では嗅上皮障害後に新生する嗅細胞の分化・成熟過程にインスリンシグナルがどのような影響を及ぼすのかを検討した。研究期間全体を通して次の3点を明らかにした。 1.新生嗅細胞は、インスリンシグナル依存的に再生・成熟する。 2.嗅上皮障害後の新生細胞の機能代償は、インスリンシグナルが低下した糖尿病マウスにおいて破綻する。 3.適切な時期にインスリンシグナルを受けないと新生嗅細胞は成熟せずに細胞死に陥る。 以上の結果からインスリンが欠乏した糖尿病マウスでは、嗅上皮障害後の再生が遅延することを明らかにした。障害後に新生した嗅細胞はインスリンシグナルに依存して分化、成熟するが、特に障害後8-13日目のインスリンシグナルが嗅上皮の修復に重要であった。今後、嗅上皮障害患者に対するインスリン点鼻投与による治療法の開発が期待される。
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