2017 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎における好中球エラスターゼと内因性阻害因子elafinの役割
Project/Area Number |
17K11358
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
神前 英明 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10402710)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / IL-33 / 好中球エラスターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎は難治性の好酸球性炎症をきたし、気管支喘息を合併することも多く、鼻茸を有し手術を行っても再発率が高い特徴をもつ。以前からステロイド抵抗性の難治性気管支喘息の病態形成には好中球性炎症が関わっていることが広く知られている。しかし、これまでに好酸球性副鼻腔炎における難治化因子として、好中球の関与を検討した報告はない。 好酸球性副鼻腔炎の上皮細胞ではTh2タイプの炎症を誘導するIL-33が上皮細胞に豊富に含有しており、気管支喘息においてはステロイド抵抗性の因子としてIL-33がかかわっていることも示されている。また、好酸球性副鼻腔炎の鼻茸中には好中球エラスターゼが豊富に含まれており、好中球エラスターゼによって切断されたIL-33はより強いTH2型炎症を誘導することが示されている。これらのことから、ステロイド抵抗性の難治性病態を呈する気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎では、好中球性炎症がその病態に関わっていて、好中球エラスターゼによって切断されたIL-33によってより強いTh2型炎症が引き起こされ、さらに、内因性プロテアーゼインヒビター(Elafin)の発現低下が病態を悪化させている可能性が考えられる。実際に、好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜には好酸球とともに多数の好中球浸潤が認められている。 本研究では、好中球エラスターゼとIL-33、さらに内因性プロテアーゼインヒビターであるElafinの役割に注目して、好酸球性副鼻腔炎の病態を明らかにし、新しい観点から適切な薬物療法が乏しい難治性疾患に対する新たな治療手段の開発を目指している
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜上皮細胞では、好中球エラスターゼに対して特異的拮抗作用を有する、内因性プロテアーゼインヒビター(Elafin)の発現が低下していることも確認している。また、副鼻腔炎鼻茸組織中のIL-33の分子量の発現についても確認しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoでの慢性好酸球性炎症マウスモデルにおける好酸球エラスターゼとElafinの役割について検討する。 1)慢性好酸球性炎症のモデル(抗原複合物;ダニ、真菌、ブドウ球菌の4か月点鼻)を行い、鼻粘膜上皮細胞における好酸球性エラスターゼやElafin発現がどのような動態を示しているかELISA法、免疫染色法にて検討する。 2) 慢性好酸球性炎症のモデルを利用して、アレルゲン点鼻刺激時にリコンミナントElafin投与により、マウスモデルの鼻粘膜炎症(IL-5, IL-13, IL-33産生、好中球・好酸球浸潤、粘液分泌、杯細胞化生、IgE産生)が抑制できるか検討する。 3) 好中球エラスターゼ、Elafinノックアウトマウスを用い、慢性好酸球性炎症のモデル に対し、好酸球性炎症抑制効果の有無について検討する。
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