2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of olfactory training on synapse formation between regenerative olfactory neuron axons and glomeruli in the olfactory bulb
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17K11360
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西崎 和則 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90180603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 綾 岡山大学, 大学病院, 医員 (00780834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嗅覚障害 / 再生医療 / 軸索変性 / 嗅覚トレーニング / Wlds変異マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、嗅覚障害に対する再生医療の可能性を検討してきた。正常な嗅覚機能の回復には、嗅細胞の再生と再生した嗅細胞が嗅球糸球体へ正しく投射され、僧帽細胞とシナプス形成する必要がある。嗅細胞が誤投射をおこせば、減嗅症や異嗅症などの嗅覚障害が永続する。この病態に対する治療戦略として、再生した嗅細胞軸索が、対となる嗅球糸球体に正しく投射することが必要である。本研究では、再生した嗅細胞の正常な投射におけるOlfactory training(嗅覚刺激療法、嗅覚トレーニング)の有効性を検討することを目的としている。本年度は、Wlds(Wallerian degeneration slow)変異をマウスの嗅細胞に組み込んだ遺伝子組み換えマウス(Wlds変異マウス)を作製し、軸索切断を行った。Wlds変異はワーラー変性(神経軸索が変性していく過程)が2週間延長する遺伝子変異である。嗅細胞の軸索切断後、1週間、2週間、6週間の軸索の変化を経時的に観察した。嗅細胞の軸索において切断時には他の神経細胞軸索と同様にワーラー変性が起こると考えられるが、軸索切断後2週間の時点でも、Wlds変異マウス群と野生型マウス群では軸索の変性状況に差がなく、6週間後において、軸索切断後の再生軸索の投射異常が改善することはなかった。現在、嗅覚受容体に蛍光標識を組み込んだ遺伝子組み換えマウスに対し、メチマゾール投与および嗅神経の軸索切断による嗅細胞障害を与え、嗅覚トレーニングを実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はWlds変異マウスの嗅覚に障害を与え、嗅覚トレーニングを行う予定であったが、昨年度からの研究員の出産、育児に伴い、Wlds変異が嗅覚再生に寄与するかどうかの検討のみとなった。研究の進捗状況は、約1年遅れている。このため,本学男女共同参画室による研究補助員支援制度を活用し、研究活動の推進する体制を整えた。 本年度の研究によりWlds変異は関与しないと考えられたため、MOR29ABおよびOMP-GFPマウスに対し、メチマゾール投与および嗅糸切断(嗅細胞軸索切断)による嗅細胞障害を与え、嗅覚トレーニングを実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によりWlds変異は嗅覚再生に寄与しないと考えられたため、嗅覚細胞を特異的に蛍光標識する他の遺伝子組み換えマウスを用いて、外傷性嗅覚障害モデルマウスを作成し、引き続き嗅覚トレーニングを実施、行動実験を介してトレーニングによる嗅覚再生の寄与について検討を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度からの研究員の出産、育児に伴い、本研究に必要十分な実験時間が確保できなかったため、来年度に行う嗅覚トレーニングや嗅覚再生に必要な薬剤・免疫薬品関連試薬に使用することを予定している。
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