2017 Fiscal Year Research-status Report
新規アジュバントを用いた鼻腔投与型インフルエンザウイルスワクチンの開発
Project/Area Number |
17K11361
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川野 利明 大分大学, 医学部, 助教 (30633424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / ワクチン / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスワクチンに付加するアジュバントの検討を行なった。主にTh2タイプのAlumとTh1タイプのCpG ODNを用いて、インフルエンザウイルスワクチンに使用できるかを鼻腔投与し確認を行なった。Alum, CpG ODN単独でもワクチンの効果を増強することがわかったが、特にこれら2つのアジュバントを組み合わせて用いることで、インフルエンザウイルスに対する非特異的な抗体反応を誘導することがわかってきた。 鼻腔投与型ワクチンにおけるアジュバントの免疫賦活能力を検討するために、Balb/cマウスを用いてA/Puerto Rico/8/34 (PR8) H1N1インフルエンザウイルスの感染モデルを作成した。ウイルス感染8週間後にTh2タイプのアジュバントであるAlumやTLR9のアゴニストであるCpG ODN、PR8のリコンビナントHAを鼻腔投与し、14日後に再度インフルエンザウイルス感染を起こした。2回目の感染後14日でマウスの血清や鼻腔洗浄液を採取し、ELISAにてIgGやIgAなど抗体産生の測定を行った。またマウスの血清、リンパ節、肺、脾臓を採取し、各臓器内のCD4+T細胞、CD8+T細胞などの発現についてフローサイトメトリーにて評価した。さらにCD4+T細胞とCD8+T細胞のCD25やCD44など様々な抗体の発現をみて、免疫細胞の活性化やメモリー分化などの詳細な検討を行った。非致死的なウイルス感染後にアジュバントを投与し、その後致死的なインフルエンザウイルスを投与した場合に、アジュバントを2種類加えたマウス群ではマウスの致死率が低い傾向にあった。結成内の抗体産生ではIgG1aの誘導が強くなっており、Th2系の反応の増強が認められた。これはAlum単独群では認めない傾向であり、2種類のアジュバント加えた相乗効果と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果についてはデータをまとめ、国際学会においても発表を行なっている。研究の進捗状況としては予定通りと考えている。実際にマウスに投与したアジュバントはインフルエンザウイルスに対し有効性を認めており、今後新たなインフルエンザウイルスワクチンの開発が期待できる。特に鼻腔投与型ウイルスワクチンはまだ本邦において未導入であり、さらなる研究が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はアジュバント付加型インフルエンザウイルスワクチンの生体内に与える影響について検討する必要がある。ワクチンは有効性が高いと同時に、安全でなくてはならない。副作用の出現などについてサイトカインの測定や組織障害の程度を、実際のマウスの鼻腔や肺組織、リンパ節や脾臓を用いて検討する必要がある。また有効性については血清内に生成される抗体だけでなく、鼻腔局所や肺組織内に産生される抗体なども検討する必要がある。今後の検討成果については2018年度もアメリカ、メリーランド州で行われるアメリカウイルス学会で発表予定である。 現在のところ概ね良好に実験は進んでいると考えられ、実験計画については大きな変更はない。
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Causes of Carryover |
英文構成費として2106円を計上していたが、提出書類が期限までに間に合わず取り下げの上繰越としました。
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