2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11372
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高原 幹 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50322904)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門 利純 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80431419)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 扁桃病巣疾患 / 掌蹠膿疱症 / IgA腎症 / 扁桃摘出術 / 口蓋扁桃 |
Outline of Annual Research Achievements |
(ア) 臨床学的検討 掌蹠膿疱症における扁桃摘出後の皮疹改善を主観的評価と客観的評価(PPP Area and Severity index: PPPASI)にて経時的に観察した。その結果、術後6ヵ月で自己評価では117例中70例(78%)、PPPASIでは手掌において61例中43例(70%)に、足底では37例(61%)に80%以上の皮疹改善を認めた。また多変量解析において術後の禁煙や掌蹠膿疱症性関節炎の合併が独立した早期の皮疹改善に寄与する因子であった。上記を英語論文として投稿し、受理された。 (イ) IgA腎症扁桃におけるIgA過剰産生 IgA腎症患者の扁桃リンパ球のIgA過剰産生のメカニズムとして、我々はIgAの産生をT細胞非依存性に促すAPRIL(a proliferation-inducing ligand)に着目し検討を行った。その結果、IgA腎症扁桃リンパ球におけるIgA過剰産生は一部APRILの過剰産生に起因し、またそのB細胞はCPG-ODN刺激にてAPRIL受容体の発現を亢進することが明らかとなった。このことから、IgA腎症扁桃リンパ球のIgA過剰産生にAPRILが関与している可能性が示唆された。上記を英語論文として作成し、投稿中である。 (ウ) これまでのIgA腎症における扁桃を中心とした病態解明 IgA腎症の病態における扁桃の役割について、CpG-oligodeoxynucleotide (ODN)、Toll-like Receptor(TLR)-9、IFN-γ、B cell activating factor belonging to the TNF family(BAFF)を中心としたIgA過剰産生や、TCR Vbeta 6、CX3CR1陽性T細胞における腎病巣へのホーミングを中心に総説を執筆し英文雑誌に投稿、受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
掌蹠膿疱症における扁桃摘出後の効果を主観的評価と客観的評価にて検討し、英語論文として投稿、受理された。また、これまでのIgA腎症における扁桃を中心とした病態解明について当科での検討結果をまとめ、英語論文総説として投稿、受理された。また、IgA腎症扁桃のIgA過剰産生についてAPRILの検討結果をまとめ、英語論文として投稿した。追加実験等の要求あり、ほぼ1年費やしたが、受理される可能性が高いと信じている。よって、概ね本科学研究費にて得た知見は論文として報告できると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(ア) 扁桃病巣疾患における基礎的、臨床的検討等のまとめと報告 掌蹠膿疱症の扁桃摘出後の効果については論文にまとめた。IgA腎症患者においては扁桃摘出術とステロイドパルス療法を継続し、その長期成績(特に腎死率など)を腎死曲線や尿所見異常消失曲線などを駆使し検討する。また、IgA腎症の病態における扁桃の役割について当科の研究成果を元に、レビューとして英文雑誌に報告した。次に掌蹠膿疱症において、これまでの研究成果(αレンサ球菌に対する免疫寛容の破綻、掌蹠膿疱症扁桃におけるT細胞の活性化、皮膚リンパ球抗原、CCR6、beta1インテグリンによる扁桃T細胞の掌蹠皮膚へのホーミング)を中心に総説を作成し、英文雑誌に投稿する。 (イ) ホーミングレセプターを介した病巣へのT細胞の浸潤 CX3CR1がIgA腎症において関与することが判明したため、CXCR3陽性T細胞に関しても扁桃リンパ球での発現やその調節機構に関して検討を進める。 (ウ)IgA腎症扁桃におけるIgA過剰産生と糖鎖不全IgA産生 BAFF、APRILが過剰産生に関与することが証明されたため、その産生細胞と思われるpDCを分離し、CpG-ODNの刺激によるBAFF、APRIL産生能を検討、IgA過剰産生のメカニズムを明らかにする。また、糖鎖不全IgAの検討に関しては、専用エライザキットにて糖鎖不全IgAを測定し、術前後の血清において検討を進める。 (エ)病巣扁桃におけるTh17細胞 扁桃リンパ球における分布をflow cytometryにて検討する。
|
Causes of Carryover |
本年は結果をまとめ、英文雑誌に投稿する機会が増えたため、研究においては基本的な項目を施行したのみであった。来年度は本科学研究費を利用できる最終年のため、計画した研究をより高度に、時間をかけて行うことで、実験による消耗品が増加すると考えられる。また、一昨年購入した消耗品も消費され、再購入の必要がある。特にth17細胞の検討におけるIL-17、21、22などのサイトカインの抗体や、糖鎖不全IgA測定ELISAに関しては高額になると予想される。
|
Research Products
(6 results)