2017 Fiscal Year Research-status Report
新規レドックス関連蛍光プローブを用いた頭頸部癌における酸化ストレス耐性機構の解明
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17K11379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 昌史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80396754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頭頸部外科学 / 蛍光イメージング / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では頭頸部癌由来の細胞株を用いてのGSH,CysSSHの定量などの実験を行う予定であったが、実験設備の関係で先に頭頸部癌切除検体における蛍光プローブによるイメージング実験を中心に行った。開発したGSHおよびCysSSH感受性プローブによるin vivoがんイメージングは検出機械の最適化などの問題で十分な成果が上がらなかったが、GSH代謝に重要とされるGGT(γ-glutamyltranspeptidase)活性の検出プローブgGlu-HMRGによるイメージングを行い、15例中7例でがん特異的な蛍光上昇を検出しえた。このことより全例ではないが頭頸部癌においてもGGT活性が更新している症例が一定数存在することが明らかとなった。 また別に凍結保存していた下咽頭癌切除検体からRNAを抽出し発現解析を行ったところ約半数にGGT1(GGTのなかで主要なsubtypeとされている)の発現上昇が認められた。GGT1の発現上昇の有無で2群に分けてPathway解析を行ったところ、GGT1の発言が更新している群においては糖代謝や酸化ストレスに関連した経路の亢進や遺伝子の発現上昇が認められた。がん細胞における糖代謝の亢進はWarburg効果として知られており、これにより産生されるNADPHによる還元作用によりGSHやCysSSHといった抗酸化剤が高濃度に維持されていると考えられている。ここまでの研究によりGGT1を介したGSH代謝が糖代謝を通じて酸化ストレス耐性に関与していると考えられ、GGT1が頭頸部癌の酸化ストレス体制維持に関して重要なターゲットとなりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞実験および動物実験に用いる研究設備、顕微鏡などの問題で当初予定していた細胞実験、さらにはがんモデルマウスを用いての実験計画に遅れが生じたが、その分がん切除検体を用いた実験を進めることができ、重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は設備がほぼ整っているため当初初年度に予定されていた細胞実験を開始する予定である。また昨年度得られたデータを基に切除癌検体における酸化ストレス耐性維持機構の解明も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更により、細胞実験や動物実験に必要な試薬、物品費の購入額が予定よりも減少したため次年度使用額が生じた。今後これらの実験を行う計画であり翌年度分と合わせて使用予定である。
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