2018 Fiscal Year Research-status Report
喉頭気管領域での組織線維化過程におけるマクロファージの役割の解明
Project/Area Number |
17K11381
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸本 曜 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80700517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 孝一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10233272)
楯谷 一郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (20526363)
北村 守正 京都大学, 医学研究科, 助教 (60543262)
山下 勝 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10635519)
岡野 高之 京都大学, 医学研究科, 助教 (60642931)
末廣 篤 京都大学, 医学研究科, 助教 (00738247)
水田 匡信 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20777875)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 声帯 / マクロファージ / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
8-12週齢のオスC57BL/6マウスを用い、過去の報告にならい両側声帯に物理的損傷を加えた。損傷前、損傷後3、7、14日目に採取した声帯粘膜から抽出したtotal RNAを用い①Emr1(マクロファージマーカー)、②CD86(M1マクロファージマーカー)、Mrc1(M2マクロファージマーカー)、③TNFα、NOS2(炎症性サイトカイン)、IL10(抗炎症性サイトカイン)、TGFβ1、Arginase1(線維化因子)の遺伝子発現の経時的な変化をqRT-PCRにて評価した。 ①マクロファージマーカーであるEmr1の発現が損傷後3日目で増加し、先行研究でおこなった免疫組織化学の結果に矛盾しない結果であった。 ②M1マクロファージマーカーであるCD86とM2マクロファージマーカーであるMrc1も共に損傷後3日目で増加しており、マウス声帯においては創傷治癒過程におけるM1-likeマクロファージとM2-likeマクロファージの関連遺伝子の発現時期には明らかな差を認めなかった。免疫組織化学でも、F4/80陽性細胞の内、iNOS陽性細胞は1、3日目に、CD206陽性細胞は3日目に増加しており、矛盾しない結果であった。 ③炎症性サイトカイン(TNFα、NOS2)や抗炎症性サイトカイン(IL10)の発現は有意な変動を認めなかった。一方、線維化に関わると報告されているTGFβ1とArginase1の発現は損傷後3日目で増加しており、マクロファージの発現増加と同時期であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗体の条件検討に時間を要したため。 適切なプライマーの設計に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、マクロファージが声帯の物理的損傷後3日目で創傷治癒・線維化に強く関わっている可能性が示唆された。今後、その働きをより明確にするために、ノックアウトマウスや分化誘導薬を用いた実験を計画している。ノックアウトの条件、分化誘導薬の至適投与量などの検討を行い、その結果に基づき、マクロファージの有無や表現型の違いによる創傷治癒へ与える影響につき検討する。
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Causes of Carryover |
条件検討に時間を要し、計画通りに研究がすすまなかったため。次年度の動物実験で用いる試薬の購入に用いる予定です。
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Research Products
(8 results)