2018 Fiscal Year Research-status Report
再発頭頸部癌に対する硼素中性子捕捉療法の標準治療化におけるバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
17K11399
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
上村 裕和 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90285370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (00319724)
太田 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00326323)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / 頭頸部癌 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌は全世界で6番目に多い癌であるが、約60%が進行癌として診断され、標準治療を施行された症例でも再発・遠隔転移を来す症例が少なくない。再発症例に対して手術や放射線再照射などで救済が試みられるが成功することはきわめて少ない。近年、脳悪性腫瘍で臨床試験が行われているホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy:BNCT)は、特異的に癌組織を破壊できる治療法であり、病巣が体表から近い頭頸部癌においても有利である。BNCTが有効な標準治療が不可能な再発頭頸部癌患者に対して最も効果的な治療法となると考えられ、前向きの臨床研究を行い、放射線療法後の局所再発頭頸部癌に対するBNCTの有効性、安全性を明らかにする中でBNCT治療におけるバイオマーカーを検索する。 頭頸部が原発巣である症例で、放射線治療後に照射野内再発を認めた患者を対象とし、同意が得られた後に本研究に登録する。(登録期間:2年間)BNCT治療を行い、①主要評価項目として早期有害事象を評価し、本治療の安全性を確認する。②腫瘍縮小効果として、計測可能な対象病変を照射開始後6か月までに照射領域内において観察された最大の効果として評価する。③副次評価項目として遅発性有害反応発生率、局所制御率、生存率については最終症例登録から1年後に集計を行い、この治療法の安全性および治療効果を評価する。さらに、BNCT治療前後に採取した癌組織を網羅的に解析し、その有害事象の頻度・治療効果と対比させ、その制御機構の解析からBNCT治療に対するバイオマーカーについて検討する。 平成30年度は2症例(軟口蓋がんと原発不明がん頸部リンパ節転移)の登録があり、BNCT治療を施行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は2症例(軟口蓋がんと原発不明がん頸部リンパ節転移)の登録があり、BNCT治療を施行した。BNCT治療施行施設の稼動状態が不安定なことなどがあり、安定して症例を登録しBNCT治療を行い難かった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画にしたがって症例登録とBNCT治療を行い、この治療法の安全性および治療効果を評価する。BNCT治療前後に採取したがん組織の解析からBNCT治療に対するバイオマーカーについて検討を進める。
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Causes of Carryover |
平成29年度は施設の問題から当初計画していたBNCT治療が延期となっていた。平成30年度は施設が稼働したが、BNCT治療登録症例が2例と少ない状態であったことで本治療に伴う諸費用が軽減されたことが原因である。次年度は登録症例を安定できるようにBNCT治療計画を立てていきたい。
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