2018 Fiscal Year Research-status Report
脱リン酸化機構を応用した頭頸部癌に対する新規遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
17K11403
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
金澤 丈治 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20336374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今吉 正一郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (00570186) [Withdrawn]
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 教授 (20311938)
草鹿 元 自治医科大学, 医学部, 教授 (00265258)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / DNAメチル化 / 癌抑制遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, Ten-eleven translocation methylcytosine dioxygenase 2 (TET2)を治療遺伝子とする頭頸部癌への新規遺伝子治療の基礎研究である.頭頸部癌は多数の遺伝子変異を伴っており,1つの癌シグナルを抑制しただけでは十分な治療効果は得られない.このため多くのシグナルを同時に抑制する必要がある.TET2は5-methylcytosine (5mC)を5-hydroxymethylcytosine (5hmC)に変換する酵素であり,DNAメチル化により不活化された遺伝子を脱メチル化し再活性化することが知られている.このためDNAメチル化で抑制された癌抑制遺伝子を同時に複数活性化できるため頭頸部癌に適した治療用遺伝子と考えられる.これまで行ってきた研究を以下に列挙する.①頭頸部癌細胞別のTET2の発現と細胞内の5hmCの量が相関するかを知るために,TET2の発現をウエスタン解析および定量的RT-PCR法を用いて検討するとともに,ゲノムDNA中に含まれる5hmCを用いて定量化している.実際に,頭頸部癌細胞株においてはTET2の発現が低い細胞は5hmC量が少ない傾向にある.②TET2の頭頸部細胞株への遺伝子導入と細胞動態・情報伝達経路の確認: TET2とGFPの融合蛋白が発現するようにサイトメガロウイルスのプロモーター(CMV)の下流にTET2-GFPの順で各遺伝子を配列したpCMV-TET2-GFPを作成した.③頭頸部癌の臨床検体を用いてTET2の発現を定量的RT-PCR法を用いて測定している.今後は臨床データとの整合性を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TET2の発現を確認するためにウエスタン解析を行っていたが結果が不安定なため,ウエスタン解析に用いる一次抗体の最適化の実験を行うとともに定量的RT-PCRの実験も追加している.また,構築したプラスミドの収量が少ないため安定して遺伝子導入実験を行うことができずこのためTET2安定細胞株の樹立に時間を要している.TET2遺伝子の意義を確認するため臨床検体を用いた研究も追加している.
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Strategy for Future Research Activity |
①TET2による癌抑制遺伝子の再活性化と作用機序の確認: 樹立できたTET2安定細胞株を用いて癌抑制遺伝子の再活性化を確認する.具体的には樹立したTET2安定発現細胞の形態,増殖能,浸潤能およびアポトーシス誘導の有無など表現型の変化を観察する.更に,TET2の情報伝達系を確認する. ②ウイルスベクターの構築・遺伝子導入: これまで得られた頭頸部癌での癌抑制遺伝子の脱メチル化による治療効果に関する知識を背景に遺伝子治療の基礎実験を行う,遺伝子治療のためにはウイルスベクターの作成が必要である, ③臨床検体を用いてTET2の役割を更に解明する.
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Causes of Carryover |
実験の遂行が遅れているため、費用の支出も遅れている. 引き続き遅れていた実験についても、実験を開始する予定である。それに伴い費用の支出も予定通り必 要となる.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Epigenetic inactivation of galanin receptors in salivary duct carcinoma of the parotid gland: potential utility as biomarkers for prognosis.2018
Author(s)
Kanazawa T, Misawa K, Fukushima H, Misawa Y, Sato Y, Maruta M, Imayoshi S, Kusaka G, Kawabata K, Mineta H, Carey TE, Nishino H.
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Journal Title
Oncol Lett.
Volume: 15
Pages: 9043-9050
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research