2017 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌に対するREV7発現と新規治療標的としての意義
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17K11407
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山下 拓 北里大学, 医学部, 教授 (00296683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 芳樹 北里大学, 医学部, 教授 (40324438)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNA修復因子 / 予後因子 / 頭頸部癌 / REV7 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法および化学放射線治療に対する耐性機構の一つとして、腫瘍細胞におけるDNA損傷後のDNA修復亢進が強く関与していることが過去の報告から知られている。そこでDNAポリメラーゼζのサブユニットの一つで、1本鎖DNA損傷修復機構の一つであるDNAの損傷乗り越え修復(translesion DNA synthesis: TLS)や細胞周期、転写因子制御などに関与するREV7の発現が治療効果などに実際関与しているか、まず当科検体を用いて確認することから研究を開始した。 すなわちまず、2008年から2013年に北里大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科において診断治療を行った中咽頭癌新鮮例について、手術検体および治療前生検のパラフィンブロック検体を用いてREV7およびヒト乳頭腫ウイルス感染による発癌のサロゲートマーカーであるp16蛋白の免疫染色を行い、患者の臨床病理学的背景や化学療法・化学放射線治療に対する治療効果(奏効度)およびカプランマイヤー法による生存率との相関の有無を検討することを目的として、北里大学医学部の臨床観察研究に関する倫理委員会に研究申請を行い、受理された。倫理委員会の承認を待って、上記検体の免疫染色(p16およびREV7)を開始した。当科で所有しているREV7抗体に関して、卵巣がんに対する免疫染色の経験は有していたが、頭頸部癌に対しては初めてであり、その条件設定にやや時間を要した。条件設定が終わりプロトコールの確定を行った後、2017年度中に全例のREV7,p16の免疫染色を終えた。現在、上記因子との相関について、統計学的検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は免疫染色に加え、FISH法による、CEP17内部コントロールに対する遺伝子増幅についても施行し、頭頸部癌症例の臨床病理学的背景や、化学療法・化学放射線治療の治療効果との相関に関する統計学的検討を加える予定であった。REV7およびヒト乳頭腫ウイルスのサロゲートマーカーであるp16の免疫染色は終了することができたが、遺伝子増幅の有無や統計学的な処理を行うまでには至らなかった。これは倫理委員会承認までに修正後再申請性が必要になったことや免疫染色の条件設定に時間を要したことと、平成29年12月に発生した北里大学医学部での火災により、しばらく免疫染色をはじめとする研究活動が施行できなかったことが要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、FISH法による、CEP17内部コントロールに対する遺伝子増幅についても検討し、p16およびRev7の免疫染色の結果と合わせて統計学的処理を行う。その結果、REV7が頭頸部癌の治療効果や予後に相関することが確認されたならば、その後in vitroでの検討として頭頸部細胞株のREV7発現状況およびREV7 mRNAに対するshRNAによるノックダウン効果の確認を行う。またin vitro, in vivoでのshRNAによるREV7ノックダウンの化学療法および化学放射線治療増感効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度に検討予定であったFISH法による、CEP17内部コントロールに対するREV7遺伝子増幅が、倫理委員会通過および免疫染色の条件設定に時間を要したことと、平成29年12月に発生した北里大学医学部での火災により施行できなかったため、その経費や成果の学会発表ができなかったため次年度使用額が生じた。
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