2019 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌に対する腫瘍溶解センダイウイルス療法の臨床応用に向けた発展
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17K11415
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
宇野 光祐 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 助教 (20464828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (80215946)
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 准教授 (70317220)
冨藤 雅之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (80327626)
木村 朱里 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 助教 (40623137) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍溶解性ウイルスとは、正常組織に傷害を与えず、腫瘍細胞で選択的に増殖し、腫瘍特異的に治療効果を発揮することを目的とするウイルスの総称である。 我々はセンダイウイルスを遺伝子組み換えし、悪性腫瘍に高発現するウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化酵素(uPA)依存的に抗腫瘍効果を発揮する腫瘍溶解性センダイウイルスベクターを作製した。センダイウイルスは、感染細胞内においては、DNA相がなく生活環はすべて細胞質内にあることが最大の特徴で、染色体との相互作用がないことから遺伝毒性が原理的になく、安全面で極めて優れている。本年度は、以前我々が確立した舌扁平上皮癌同所移植マウスモデルにおいて、腫瘍溶解性センダイウイルスの腫瘍内投与に対する他臓器への移行性と安全性を確認するために、各臓器におけるGFPレポーター遺伝子のmRNA発現量をqRTPCRを用いて測定した。その結果、血液、肝臓、腎への移行は、局所投与された舌腫瘍の数百分の一の発現にとどまった。すなわち、同所移植モデルにおいて は、血液や肝臓、腎臓への移行性は極く微量であり、安全であると考えられた。in vitroの実験において、様々な頭頸部扁平上皮癌細胞株に対して腫瘍溶解性セ ンダイウイルスと放射線との併用による治療の相加・相乗効果を検討した。結果は、腫瘍溶解性センダイウイルスと放射線の抗腫瘍メカニズムが異なるため、相加的な殺細胞効果を認めた。また、in vitroの実験において、様々な頭頸部扁平上皮癌細胞株に対して腫瘍溶解性センダイウイルスと抗がん剤であるシスプラチンとの併用による治療の相加・相乗効果を検討した。結果は、腫瘍溶解性センダイウイルスとシスプラチンの抗腫瘍メカニズムが異なるため、相加的な殺細胞効果を認めた。現在、より強い抗腫瘍効果を発揮するため、治療因子を搭載した腫瘍溶解性センダイウイルスの作製を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
頭頸部癌における標準治療として腫瘍溶解性センダイウイルスを臨床応用する上で、既存の頭頸部扁平上皮癌に対する標準治療である放射線療法や抗がん剤との併用療法について検討を行ったが、併用効果としては相加的な殺細胞効果にとどまった。しかし別の研究において確立したマウス由来の扁平上皮癌細胞株SCCVIIを用いた頭頸部扁平上皮癌擬似転移マウスモデルにおいて擬似転移巣に対する抗腫瘍効果、またその抗腫瘍メカニズムについて検討した結果、腫瘍溶解性センダ イウイルスは原発巣に対する治療効果のみならず、抗腫瘍免疫の誘導による遠隔転移を標的とした治療も可能であることが示されたことから、新たながん免疫療法として利用可能な治療ウイルスとしての臨床応用の可能性が示唆された。また同時に、本ウイルスを頭頸部癌治療の標準治療として臨床応用するためには、より強い殺細胞効果を発揮するウイルスベクターを作製する必要があると考えられたことから、治療因子を搭載した腫瘍溶解性センダイウイルスを作製中である。 今後、新ウイルスの安全性試験を行う必要があるために、計画より若干の遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい治療因子を搭載した腫瘍溶解性センダイウイルスを作製した後、上記と同様に安全性試験およびin vitro実験で抗腫瘍効果の検討を行う予定である。また、がん免疫療法として腫瘍溶解性センダイウイルスの臨床応用を目指すにあたって、腫瘍免疫サイクルの中において相乗的な抗腫瘍効果をもたらす因子の検討が必要と考えた。現在、抗腫瘍免疫をより効率的に誘導する方法として免疫チェックポイント阻害薬との併用療法に着目しており、上記で確立した頭頸部扁平上皮癌擬似転移マウスモデルにおいて抗PD-1抗体との併用療法の治療効果やその作用機序について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
治療因子を搭載した腫瘍溶解性センダイウイルスを計画、作製の途中であり、文献検索等の立案に時間を割いた。また、がん免疫療法としての実用化を目指すためには抗腫瘍免疫をさらに活性化する方法の検討が望ましく、免疫チェックポイント阻害薬との併用効果の検討を含めた研究計画の見直しを行う必要があった。次年度はウイルス安全性試験およびin vitro実験で抗腫瘍効果の検討、in vivo実験で免疫チェックポイント阻害薬として抗PD-1抗体との併用効果の検討およびそのメカニズムの解析、学会発表を行う予定である。大幅な繰越金はないと考えている。
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Research Products
(3 results)