2020 Fiscal Year Research-status Report
トレハロース点眼の濾過胞維持機能に関する基礎的臨床的研究
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17K11416
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
目時 友美 弘前大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (00400169)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トレハロース / 緑内障 / 線維柱帯切除術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者の所属する研究室にて特許を取得したトレハロースによる線維芽細胞増殖抑制効果を、緑内障の手術法のひとつである線維柱帯切除術後の濾過胞維持に応用した研究である。本研究は特定臨床研究にも該当するため、研究当初の2年間はそのための申請や承認手続きのためにその殆どを費やしたため、実際に本研究の主要な研究項目である臨床研究を行うことができたのは令和元年度からであり、令和元年から研究期間を延長して令和3年にかけて対象患者をリクルートし、組み入れ予定数の12症例目の組み入れを達成できたのが令和3年3月であった。組み入れ症例をランダムにトレハロース点眼群{6例)と対照群(生理食塩水点眼群、6例)に分け、線維柱帯切除術30日間にわたり、5%トレハロースか生理食塩水の1日4回点眼を行った。評価項目として術後1か月、2か月、3か月および6か月目での眼圧値、濾過胞所見および前眼部光干渉断層計による濾過胞断面像を計測した。令和3年4月現在において、最終の11例目と12例目の術後経過を観察中である。このトレハロースの5%という濃度は以前の研究代表者の所属する研究室で行った基礎実験から、浸透圧が生理食塩水と同等であり、かつ培養線維芽細胞増殖抑制効果を示す濃度であったことから今回の研究において採用となった濃度である。今回の臨床研究においてトレハロースを点眼した症例には少なくとも術後1か月以内の急性期に副作用などの有害事象を発症させた事例はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初に臨床研究法が施行され、申請前には研究倫理審査のみでよいものと認識されていたものが、特定臨床研究に分類されることとなったため、認定臨床研究倫理審査委員会での審査と承認が必要とされることとなった。このため、認定臨床研究心理審査委員会の発足と審査、承認および厚生労働省への届出などの手続きに2年を要したことから、当初の研究計画が大きくずれ込み、研究期間を延長することで予定症例数を確保することができた。そこへ新型コロナウイルス感染のパンデミックの影響を受けたこともあり、手術症例を制限せざるを得ない状況があったことから、研究期間を再延長することとなった。再延長後は最終症例の経過観察期間を含めて当初の症例数を確保できる見込みとなったことから、おおむね順調に進んでいると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終症例の経過観察期間が終領し次第データの解析に入り、できるだけ短期間内に研究結果をまとめ、公表するべく計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、各種の学術集会が中止となったため、集会への出席に係る旅費の支出がなかったことが大きな原因となった。翌年はこれまで組み入れた症例の経過観察とその後の集計が主たる研究項目となるのでそのために予算を支出する予定としている。
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