2019 Fiscal Year Research-status Report
涙液中ガレクチン3を用いた新規ドライアイマーカーの探索
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17K11432
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内野 裕一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80365337)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドライアイ / ガレクチン3 / 切断型ガレクチン3 / グライコカリックスバリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月末現在、ドライアイ患者およびコントロール対象者からの涙液サンプル回収および結膜上皮細胞インプレッションサイトロジーサンプル回収は順調に進捗し、既に回収が完了したサンプル数は解析可能目標実施数に到達している。BCA法による涙液中タンパク濃度測定が回収サンプル全てで終了した。次に実際の涙液サンプルからガレクチン3濃度を解析し、臨床におけるドライアイ重症度と相関関係が存在することを見出した。さらにドライアイの臨床重症度によって3群(正常・中等度・重症)の3群に分けたところ、重症ドライアイで特に涙液中のガレクチン3濃度が有意に上昇していることが判明した。 また涙液中proteaseなどによってcleavedされたと考えられる切断型ガレクチン3 (Gal-3C)をウェスタンブロッティング法によって分子量26kDから同定し、Gal-3Cが重症度の高いドライアイ群に有意に多く認められることを証明した。また自覚症状の定量化のために自覚症状判定質問票(DEQS)を回収し、自覚症状と涙液中ガレクチン3濃度の相関関係にも有意な相関関係を認めることがわかった。以上から涙液中ガレクチン3濃度および切断型ガレクチン3が臨床的な眼表面のドライアイ重症度を評価するうえでの新たなバイオマーカーになる可能性が示された。またガレクチン3はマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性化に影響を与えていることが知られており、本研究では涙液中ガレクチン3濃度とMMP活性が相関することも証明され、涙液中ガレクチン3がドライアイにおける眼表面炎症を惹起させる因子の一つである可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者および対象者からの研究参加への同意取得およびドライアイ症例および対象症例からの涙液サンプル回収は順調にほぼ終了した。研究解析進捗も上記の通り予定通りである。また国際学会参加にて我々の進捗状況が他の研究グループよりも順調であることも確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
ドライアイ患者の涙液中のガレクチン3濃度が上昇していることが明らかになり、ガレクチン3が関与しているMMPの活性についても解析し、ドライアイにおけるガレクチン3の持つ病態生理についても解明を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験に使用予定であった試薬が海外から輸入するのに時間がかかり、研究計画が次年度に移行した。また外部委託研究も実際の計画時期よりやや遅れているため、次年度使用額が生じている。次年度はまずいままでの発表成果を論文化してまとめる。また培養角膜上皮細胞を用いてガレクチン3を中心としたグライコカリックスバリア破綻を塩化ベンザルコニウムなどの眼表面毒性のある物質で惹起させて、バリア破綻モデルを構築する。さらにこの眼表面バリア破綻モデルを用いて、眼表面水濡れ性低下とグライコカリックスの関連について研究を進める。
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Research Products
(2 results)