2017 Fiscal Year Research-status Report
Association subtype of age-relrated macular degeneration and periodontal disease
Project/Area Number |
17K11438
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
太田 浩一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70262730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
石原 裕一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50261011)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 加齢黄斑変性 / 歯周病 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮増殖因子阻害薬の眼内(硝子体内)注射により、加齢黄斑変性の一部においては視力の維持、高度の視力低下の回避が可能となった。しかし、この治療は高額かつ複数回投与が必要であり、超高齢化社会を迎えた今日の日本では、保険システムおよび財政破綻の可能性さえある。従って、疾患の発症前のアプローチで発症を抑えることは、各患者のみならず、医療費削減にも極めて有効な対策である。本研究では加齢および動脈硬化という共通項を有する歯周病と加齢黄斑変性との関連を研究する。 平成29年度において、松本歯科大学病院眼科に通院する加齢黄斑変性の患者を診療録、カラー眼底写真、光干渉断層計、フルオレスセインおよびインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査の所見よりドルーゼンのみの前駆病変、滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性の診断を行った。さらに滲出型加齢黄斑変性は典型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜内血管腫状増殖のサブタイプに分類した。 一部の加齢黄斑変性の患者においては 現在歯すべてについて6点法による歯周組織検査を実施し3mm 以上のクリニカルアタッチメントレベル (CAL)が1部位でも認められた被験者を歯周病と診断し、平均probing depth (PD)、平均CAL、Bleeding on probing (BOP)率から歯周病の程度を評価した。 加齢黄斑変性に関する論文が多いRetina誌の定期購読を始め、情報収集の手段とした。また、加齢黄斑変性に関する最新の情報を得るために、欧州網膜会議に出席した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
松本歯科大学病院眼科に通院する加齢黄斑変性の患者を診療録、カラー眼底写真、光干渉断層計、フルオレスセインおよびインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査の所見よりドルーゼンのみの前駆病変、滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性の診断は行っている。また、滲出型加齢黄斑変性を典型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜内血管腫状増殖のサブタイプへも分類している。しかし、加齢黄斑変性患者に対する歯周病診断が進んでいない。 最大の理由は加齢黄斑変性の患者の年齢が高く、歯周病診断に必要な十分な歯数を有さない患者が多いことである。眼科診療時、普通に会話をしていても歯周病の診察の説明時点で、「入れ歯」であることが発覚することが多い。また、大学のある塩尻市内の患者は1割程度で患者の住所が遠い(病院から30km~50km)ため、通院が大変である。元々、地元の眼科医療機関からの紹介であり、診断と治療のために無理して遠方にある眼科の診療に来院される。眼科診察では診断のため、視力検査、眼底写真、光干渉断層撮影、蛍光眼底造影検査、診察が行われる。治療が必要な場合は散さらに瞳、血圧測定、滅菌、抗血管内皮増殖因子阻害剤の硝子体内注射と眼科外来での滞在時間が多く、同日の歯周病診察は負担となっている。さらに、高齢者かつ治療後は片眼帯となり、移動に伴う転倒等の危険を考えると歯周病診断を同一日に行うには患者負担が多くなる。実際、研究の説明をしても同意されない症例に時々直面する。また、歯周病だけの診察に別の日に来院することは遠方からの通院が多いため、同意されない場合もあり、研究対象者数が増えていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究においては眼科外来患者におけるドルーゼンのみの前駆病変、滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性の診断は行っている。また、滲出型加齢黄斑変性を典型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜内血管腫状増殖のサブタイプへも分類しており、眼科的な加齢黄斑変性のサブタイプ分類は進んでいる。高齢者かつ視力障害を有する患者の歯周病診察への協力はまずは地道な説明を継続的に行うことに尽きる。 平成30年度は加齢黄斑変性診断に必要な視力検査、眼底写真、光干渉断層撮影、蛍光眼底造影検査、医師による診察の途中に本研究の必要性および具体的な方法を示した案内を行い、歯周病検査への理解を求める。または 眼科の検査(たとえば視力検査後に散瞳剤の点眼を行い、30程経過してから眼底写真、光干渉断層計による撮影、医師による診察が行う)の合間に歯周病科に移動して歯周病診察を受けてもらうという対策がある。また、眼科外来に本研究の目的・協力依頼を書いたポスターを掲示して、診察を待つ間に、啓蒙する対策がある。 もちろん、本研究においては松本歯科大学の「学術研究倫理指針」を尊重し、「松本歯科大学研究等倫理審査委員会」での承認を得ているが、被験者の募集に関しては、研究へ参加することは個人の自由意志であり、強制されるものでないこと、同意しなくても不利益は生じないこと、いったん同意した場合もいつでも同意を撤回できること、その場合は採取した研究用血液、結果は破棄されて、研究に使用されないこと、データは個人情報であり、厳重に管理され、個人識別情報(氏名、生年月日、患者ID等)とは分離し、施錠された部屋のキャビネットに厳重に保管されることなどを引き続き、十分説明する。
|
Causes of Carryover |
眼底写真、光干渉断層撮影、蛍光眼底造影検査の画像を印刷もしくは動画で確認しつつ、滲出型加齢黄斑変性を典型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜内血管腫状増殖のサブタイプに分類している。しかし、加齢黄斑変性の患者の年齢が高く、歯周病診断に必要な十分な歯数を有さない患者が多く、歯周病診断に至る研究対象者数が増えていない。加齢黄斑変性のサブタイプ診断と歯周病の診断がそろって初めて、本研究が進むため、患者負担が多い、遺伝子診断用の採血はまだ控えている。従って、採血、遺伝子抽出、遺伝子解析に関する試薬の本格的な使用が少ない分、当該年度の使用額が減じ、次年度使用額が生じた。 次年度は研究対象者を増やし、遺伝子診断関連の試薬等の購入が進むため、請求した助成金と併せ、使用予定である。
|