2018 Fiscal Year Research-status Report
網膜疾患病態解明に向けたマルチファクター生体内イメージングシステムの構築
Project/Area Number |
17K11445
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國方 彦志 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40361092)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 網膜細胞死 / 生体内イメージング / 網膜疾患動物モデル / 網膜神経節細胞 / AnnexinV / SYTOXオレンジ / 網膜動脈閉塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜疾患動物モデルの同一個体内でリアルタイムに観察可能な生体内イメージングシステムを構築するために、まず初年度にラットNMDA網膜障害モデルにおける網膜細胞死に着目した。死細胞蛍光プローブであるSYTOXオレンジを用いたイメージングシステムによって、生体内で可視化及び定量評価することが可能であり、また既知の神経保護剤の薬効評価に有用であることを明らかにした。昨年度は、同モデルにおいて、予め網膜神経節細胞を蛍光標識した上で、アポトーシス細胞を可視化することが可能な蛍光標識AnnexinVと本研究で用いている死細胞蛍光プローブであるSYTOXオレンジを投与し、蛍光標識AnnexinVとSYTOXオレンジが同一の障害細胞で陽性であること、その障害細胞が主に蛍光標識された網膜神経節細胞であることを明らかにした。同モデルにおいてNMDA障害4時間後にSYTOXオレンジを単回投与することで、SYTOXオレンジ投与後6時間までSYTOXオレンジ陽性の死細胞を観察することが可能であったが、8時間後には死細胞は観察できなかった。初年度の結果とこれらの結果をまとめ英文雑誌に報告した。 次に、ラット網膜動脈閉塞モデルにおける酸化ストレス蛍光プローブを用いたイメージングシステムによって、生体内で網膜動脈閉塞後の網膜における活性酸素を可視化することが可能であった。また、本システムを用いることによって、網膜動脈閉塞12時間以降に網膜に酸化ストレスが生じることを明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脈絡膜新生血管モデルにおける蛍光標識VEGF抗体を用いたVEGF受容体の生体内イメージングシステムの構築において、脈絡膜新生血管作成後のVEGF受容体の生体内での可視化に難航している。網膜進展標本では、蛍光標識されたVEGF受容体を観察することが可能であったため、VEGFを標識する蛍光色素(Qdot 705)の蛍光強度、VEGF受容体の分子サイズとイメージング装置の検出能の関係などに依存することが予想される。また、炎症細胞イメージングについては蛍光プローブの投与量、投与濃度及びイメージング条件などを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き条件検討を行い、各種生体内イメージングシステムの確立及びその制度の検討を目指す。VEGF受容体の生体内イメージングについては、引き続き蛍光色素の変更を検討するとともに網膜進展標本での解析も進める。並行して確立した各生体反応の生体内イメージングシステムを組み合わせ、網膜疾患動物モデルの同一個体において複数の生体反応を観察可能な生体内イメージングシステムを構築する。なお、組み合わせを適宜変更し、達成可能な組み合わせを検討する。最終的に、複数の生体反応を観察可能なイメージングシステムの構築により、複数の分子、生体反応及び関連細胞が複雑に関与し、その病態が十分に解明されていない網膜疾患の更なる病態解明及び革新的治療薬の開発への貢献が期待できると考えられる。
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Causes of Carryover |
VEGF受容体、炎症細胞の生体内イメージングシステムの構築を進める。さらに、確立した複数の生体反応のイメージングシステムを組み合わせ、各種病態モデルを用いて、病態解明や治療開発における生体内イメージングシステムの有用性を検討する。
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