2018 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR-Cas9システムを用いた遺伝性角膜疾患に対する画期的根治療法の開発
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17K11446
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
臼井 智彦 東京大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (80282557)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 角膜ジストロフィー / 遺伝子編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度はCRISPR-Cas9とHDRによる遺伝子編集がin vivoでも機能するか、モデル動物を用いた検討を行った。TGFBI関連角膜ジストロフィーの1病型である格子状角膜変性症(TGFBI R124C変異)のモデルマウスを東京大学農学部藤井渉博士との共同研究により作製した。 マウスの交配をすすめたところ、ワイルドタイプのマウスでは角膜混濁が生じなかったが、ホモのR124Cマウスは生後40週で約70%のマウスで角膜に混濁が生じていた。組織学的検討を行ったところ、混濁部位はHE染色においてエオジン好性に染色された。コンゴーレッド染色は陰性であったが、マッソントリクローム染色では淡く染色が見られた。電子顕微鏡での観察も行ったが、無構造、不定形の沈着物が上皮下に多数観察された。 ワイルドタイプとホモR124Cマウス間において、角膜におけるTGFBIの遺伝子発現量に差異は見られなかったが、タンパクレベルではホモR124Cマウスの角膜において、TGFBIタンパクの発現増加が見られ、生成された変異体TGFBIタンパクの分解が阻害されている可能性が考えられる。 ヒト格子状角膜変性症では、角膜びらんがよく見られるが、R124Cマウスにおいては角膜びらんは見られなかった。創傷治癒モデルを角膜上皮に作製すると、ワイルドタイプと比較して、R124Cマウスでは著明に角膜上皮の創傷治癒遅延が認められ、TGFBI変異によるなんらかの細胞遊走阻害や接着阻害が生じている可能性が考えられた。 現在本モデルマウスの角膜局所におけるCRISPR-Cas9とHDRによる遺伝子編集が可能か検討するため、現在コンストラクトを作製し、in vivoにおける遺伝子導入の検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルマウスを作製し、その評価をほぼ終了し、論文作成に着手していること。 また治療法確立のため、遺伝子編集のコンストラクトを作製し、in vivoの検討を開始していること。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、モデルマウスの論文作成とマウス角膜における遺伝子編集の検討を行う。
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Causes of Carryover |
概ね予定通り使用したが、11万ほど余った。来年度は様々な試薬が必要となり全て使用されると考える。
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Research Products
(1 results)