2017 Fiscal Year Research-status Report
緑内障病態におけるメカノストレスとHippo-YAP/TAZシグナルの研究
Project/Area Number |
17K11458
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井上 俊洋 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00317025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷原 秀信 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60217148)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 線維化 / メカニカルストレス / 緑内障 / 結膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hippo シグナルと緑内障病態を考えるにあたって、まずTGF-β刺激に対するHippo シグナルの変化を検討した。結膜線維芽細胞をTGF-β2 で刺激したところ、α-SMA、CTGF、ファイブロネクチン、コラーゲンといった筋線維芽細胞の特徴的な遺伝子発現が上昇するとともに、YAP およびTAZ の発現も上昇した。共益因子であるTEADは変化に乏しかった。この結果から、結膜線維芽細胞において、TGF-β誘導性の筋線維芽細胞化にHippo シグナルが関与していることが示唆された。TGF-β刺激による筋線維芽細胞化に対するYAPおよびTAZの作用を調べるため、siRNAにて両因子のノックダウンを行ったところ、α-SMA、細胞外マトリックスはYAPのみのノックダウンで抑制されることがわかった。また、一方で、CTGF、CYR61などCCN familyの抑制にはYAP、TAZのダブルノックダウンが必要であった。さらに細胞内シグナルに対しても、YAPノックダウンによりSmad2/3のリン酸化と核移行が抑えられたが、TAZノックダウンの影響は乏しかった.従って、結膜線維芽細胞の筋線維芽細胞化において、YAPとTAZは別の役割を有していることが示唆された。さらに、YAP阻害薬であるベルテポルフィンで1 時間前に刺激を行ったところ、YAP/TAZ の発現低下とともに他のTGF-β2 誘導性遺伝子発現に対する影響も抑制された。一方で、ベルテポルフィンは、共益因子であるTEADの発現も抑制していた。この点がYAP、TAZのダブルノックダウンと異なっており、ベルテポルフィンにはYAP/TAZ阻害以外の効果があると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いた実験が計画通りに進行しているため
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Strategy for Future Research Activity |
現在行なっている培養細胞を用いた実験では、基質の固さが結膜線維芽細胞に与える影響も検討する。さらに、緑内障病態に関わるメカノストレスとHippo シグナルの変化についてさらに理解を深めるために、ex vivo およびin vivo 実験を行う。また、ROCK シグナルやWnt シグナルといった緑内障病態に関わる他の細胞内シグナルとの関連も検討し、理解を深める。可能であれば、光刺激による細胞障害性があるベルテポルフィン以外のYAP/TAZ 阻害薬をスクリーニングし、新しい緑内障治療薬として応用可能か検討する。
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