2018 Fiscal Year Research-status Report
未分化増殖性ヒト角膜内皮細胞亜集団の in vitro 分化成熟法の創出
Project/Area Number |
17K11461
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
戸田 宗豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30550727)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 角膜内皮細胞 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、細胞の増幅工程においては細胞の重層化・線維芽細胞様形態への変化を抑えた改変増幅法により増幅効率を約1.5倍にまで増加させ、5週間で約10,000倍にまで未分化増殖性細胞を増幅することが可能となった。分化誘導工程については30~80%の分化誘導効率を達成した。これは、多能性分化細胞の分化誘導に用いられている機能性低分子化合物の混合物を用いて分化誘導前に前処理を行うことにより可能となったのであるが、ドナー角膜による分化誘導効率の差異が大きいことが課題として残された。そこで、それぞれの機能性低分子化合物が未分化増殖性細胞にどのような変化を与えるのかをFACS解析により解析したところ、受容体型チロシンキナーゼ阻害剤の一つが阪大・西田らのグループにより報告されている角膜内皮前駆細胞(Hara S. et al. Stem Cells Dev. 2014 23(18): 2190-201)に類似した p75NTR 陽性細胞の含有率を大幅に増加させることを見出した。一方で、GSK3β阻害剤である CHIR99021 は、CD166 発現細胞含有率を低下させることが明らかとなった。また、マルチプレックスアッセイシステムを用いて増幅工程、分化誘導工程それぞれにおいて各処理の有無で培養上清中のサイトカイン産生がどのように変化するのかを網羅的に解析した。以上の解析をもとに、前処理に用いる機能性低分子化合物の組み合わせを改変し、分化誘導効率を改善することができた。また、分化誘導工程に使用する分化誘導培地についても基礎培地および添加物の検討を行った結果、いくつかの条件で分化誘導効率の改善が見られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Latrunculin A、Swinholide A、CK-666,、CK-869 などの細胞骨格修飾剤や エピジェニック阻害剤、あるいは細胞-細胞外マトリックス相互作用など当初の計画にあった分化誘導法を試みるも顕著な分化誘導効果はみられなかったが、増殖工程と分化誘導工程の間に機能性低分子化合物での前処理を行うこと、および分化誘導工程での基礎培地および添加物の検討により、成熟分化細胞を~85%の効率で得ることに成功している。また、増殖工程での増幅効率も改善できており、「1眼のドナー角膜より5000人以上に移植可能な成熟分化ヒト角膜細胞を2カ月以内に生産できる基盤技術を確立する」という目標達成に近づいていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、更なる分化誘導効率の改善、あるいは分化細胞の純化方法の検討を行い、均一な成熟分化角膜内皮細胞を得ることを目標とする。純化法に関しては、研究計画記載の相転移細胞と成熟分化細胞の代謝の違いを利用して行なうとともに、ソーティングや磁気ビーズの利用も検討する。
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