2017 Fiscal Year Research-status Report
Exosome mediated Innate/inflammatory cross talk between macrophages (Mps) and iPS-derived RPE cells: Proposal of new trait for the pathogenesis of age-related macular degeneration (AMD)
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17K11463
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
羽室 淳爾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (80536095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロフアージ / 網膜色素上皮細胞 / エキソゾーム / 加齢黄斑変性症 / 炎症増悪回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
RPEは視細胞外節を貪食し、網膜組織環境の恒常性を維持する。外的ストレスで貪食能が低下するとドルーゼン(老廃物)が網膜下に蓄積する。我々は 脈絡膜浸潤マクロファージ(Mps)によるRPEの本恒常性維持機能の破綻がAMD早期病態の一端を担うことを報告した(2016年IOVS山脇、伊東、羽室ら)。 組織炎症では、貪食能を有するMpsが、代謝リプログラミングを介し、Glycolytic Mpsに転換し組織障害が起こる。随伴する低酸素環境下でOXPHOS傾斜Mpsにリプログラムされ血管新生や瘢痕形成病態を招来する( 2011年、園田、羽室ら、AMD モデルなど)。 Mps/RPE共培養系において、前炎症性サイトカインIL-6, IL-8, MCP-1産生やVEGFが増強され、本作用の一部はMps産生TNFαにより担われる。このTNF産生は未変性RPEにより抑制されるが、 RPEがMDA など酸化脂質に修飾さると本抑制効果は消失する。 本年度は、Mps/RPE→Exosome→Mps→TNF-α→RPE→MCP-1, IL-6, VEGFの炎症増悪回路について新たに下記のことを確認した。共培養上清由来超遠心法精製exosomeは、共培養系のMCP-1,IL-6,VEGF産生およびRAW264単独培養からのTNF-α産生をexosome添加量依存性に増強することからExosomeがMps/RPE細胞間相互作用ならびにRAWからのTNF-α産生を促進することが判明した。しかしながら、共培養によるMpsからのTNF-α産生のRPEによる抑制作用にはexosomeは関係しないと判明した。同時にRPEの分泌する量子ドット標識exosomeが確かにRAW264に取り込まれていることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エキソゾームによる炎症増悪回路が明確に示された。しかしながら、RPEの炎症抑制作用には関与していないことも明確になった。 2年目にあたる30年度からはiPS由来RPEを用いてヒトの系での再現性実験に進むこととなった。 8月には本研究で明らかになった経路を標的とする創薬、診断に係る特許を出願できるところまで進捗した。 また、この進捗を受けて理研、関係ベンチや―企業との共同研究に発展した。
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Strategy for Future Research Activity |
RPE/Mps 間のパラクリンLoopの立証に取り組む。C3bBb がMps に作用するとC3 産生がさらに増強される経路の成立の可能性があるが、このC3 convertase の作用がRPE からのC3, CFB 産生増強に関与しているか検証する。同時に、変性RPE から産生される飽和脂肪酸やExosomeがMps のTLR4 に作用しMps からのTNFα産生増悪回路の一翼を担っているかどうか検証する。TLR4 拮抗物質やC3bBb を阻害するCFH やCTRP6 の本Loop 遮断効果を検証し新規創薬標的として有効か検証する。 免疫抑制性RPEvs酸化脂質変性RPE(免疫抑制作用消失)の分泌するEVs, miR により前炎症性vs抗炎症性Mps 機能がどの様に修飾されるか検定し、核酸医薬の可能性を検証する。 高橋政代先生との共同研究でiPS 由来RPEを用いてヒトTHP-1 をPMA処理して分化させたMps との共培養で従前の知見の再現性を検証する。 最終年度には、単一細胞化での変性の可能性を回避するために、生体内本来のRPE 組織の働きを再現するために米国アイバンクから入手する研究用ドナー眼球組織の後眼部を用いてMps との細胞干渉を器官培養として実施する。方法は、故Streilein 教授(ハーバード大学)らにより確立された技術(IOVS. 47: 3912, 2006)を踏襲する。
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Causes of Carryover |
エキソゾームの作用が予測通りに明確に判明したために研究が進捗、30年度に、①ヒトの系での実験にまで展開すること、ならびに、②エキソゾームの内に含有される脂質系分子の同定実験にも着手することとなった。
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