2019 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴシン1リン酸の眼線維化疾患での上皮間葉系移行への関与解明と新規治療戦略
Project/Area Number |
17K11464
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40433362)
田中 才一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60316106)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | スフィンゴシンー1ーリン酸受容体 / 水晶体上皮細胞 / 上皮-間葉系移行 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
導入したスフィンゴシン・1リン酸受容体2型または3型欠損マウスをC57BL/6Nにバッククロス施行した。研究代表者の既報に準じて水晶体穿孔外傷を作成し、水晶体上皮細胞の上皮-間葉系移行の評価の目的で組織病理と免疫組織化学的検討を行った。野生型C57BL/6Nマウスにおいて、この障害では3日でSamd2/3の核内移行が始まり、上皮-間葉系移行の結果、mRNAレベル(in situハイブリダイゼーション)では3日、蛋白質レベル(免疫組織化学)では5日以内にアルファ平滑筋アクチン陽性の筋線維芽細胞が水晶体内に出現する。Smad3欠損ではこの上皮-間葉系移行が消失することが知られている。同受容体3型欠損マウスでは、免疫組織科学的にSmad3核内移行が減弱していると思われたものの組織学的、免疫組織化学的に上皮間葉系移行や嚢組織線維化がSmad3欠損同等に強く抑制されているという所見は得られなかった。しかし、5日での水晶体前嚢の穿孔創の収縮による閉鎖を嚢断端間の距離で評価すると、同受容体3型欠損マウスで閉鎖が遅延していた。同受容体2型欠損マウスでは野生型と差異の無い治癒過程であった。白内障・眼内レンズ手術合併症の一つである過剰な嚢収縮による眼内レンズの位置異常が特に予想されるハイリスク症例を対象とした治療戦略において、同受容体3型が標的となり得ると考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
順調にマウスにおけるスフィンゴシン・1リン酸受容体の水晶体穿孔外傷後に起こる水晶体上皮細胞の上皮-間葉系移行の評価が組織病理と免疫組織化学的検討で行えている。水晶体上皮細胞の上皮-間葉系移行と嚢組織線維化で決定的役割をもつSmad3の核内移行は起こるものの、障害された水晶体嚢の収縮がスフィンゴシン・1リン酸シグナルに影響されることが判明した。今後の本研究の他の眼組織での発展の基礎となるデータであると考える。同遺伝子欠損マウスでの実験的網膜剥離後の網膜色素上皮の上皮-間葉系移行と組織線維化の研究と培養細胞での阻害役を用いた研究が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのノックアウトマウス2種での水晶体上皮細胞の外傷後の上皮-間葉系移行と嚢組織線維化でのデータと予備研究から同遺伝子欠損マウスでの実験的網膜剥離後の網膜色素上皮の上皮-間葉系移行と組織線維化の研究の結果予測と方向性を示すデータを得たということで、これらについて、今後も研究を継続する。
|
Causes of Carryover |
本年度に計画していた網膜剥離後の網膜色素上皮の上皮のー間葉系以降と組織線維化について、予備的データを得ているものの、それぞれのノックアウトマウスでn数を増やして、データを確実にする作業、および、培養細胞を用いたin vivoデータの再現研究も遅延しているので、資金の繰り越しを希望する。
|
Research Products
(1 results)