2017 Fiscal Year Research-status Report
羊膜由来間葉系幹細胞の眼表面疾患モデルにおける効果
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17K11467
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
島崎 潤 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40170930)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 羊膜 / 間葉系幹細胞 / 角膜上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前、我々は羊膜由来間葉系細胞が羊膜の持つ効果にどのように影響を与えているか明らかにするため、in vitro上皮創傷治癒モデルへの影響を観察し、羊膜由来間葉系細胞にも創傷治癒促進効果があることを報告した。本研究において本年度は、さらに羊膜から分離培養した間葉系細胞(AMMCs)を解析し、ウサギ角膜上皮欠損モデルに対する羊膜由来間葉系細胞培養上清の効果を観察した。 当院の羊膜バンクより供給された羊膜から間葉系細胞を分離・培養し、フローサイトメトリーにて発現解析を行った。また、その培養上清を用いてin vivo実験を検討した。In vivo創傷治癒モデルはウサギ角膜中央部に8mmトレパンで上皮欠損を作成したものを使用した。羊膜もしくは羊膜由来間葉系細胞の培養上清ならびに培養前の培地をコントロールとして、ウサギ創傷治癒モデルへ点眼または結膜下注射し、上皮化過程を経時的に観察した。 フローサイトメトリーにおいて、AMMCsはいわゆる間葉系幹細胞と少し異なる発現パターンを示し、炎症性物質分解酵素であるCD10や神経堤由来関連因子(CD49d、PDGFRa)、線維芽細胞マーカー(FSP-1)の発現が観察された。造血系(CD14、CD34、CD45)や血管内皮のマーカー(CD31)の発現は観察されなかった。 AMMCsの培養上清を点眼または結膜下注射することにより、ウサギ創傷治癒モデルにおける上皮化が促進される傾向を観察した。以上のことから羊膜の持つ創傷治癒促進効果は羊膜に存在する間葉系細胞が一部役割を担っている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要では記述していないが、羊膜由来間葉系細胞の投与についても現在検討中で、SPION(Supper Paramagnetic Iron Oxide Nanoparticles(Fe3O4:四酸化三鉄))でラベルした細胞を組織採取後ベルリンブルーで染色することが可能であることがわかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的解析においてはヘマトキシリン・エオジン(H.E.)染色並びに移植したhAM-MSCs の存在を確認するため、SPION を鉄染色で使用するベルリンブルーで染色を行う。炎症細胞に対する影響を観察するため、CD45、CD3、CD4、CD11c などの表面抗原を検出して免疫組織学的に観察する。また、血管新生への影響を観察するため、CD31 などの抗体を用いて免疫染色を行う。上皮欠損モデルでは上皮化した時点で家兎の角膜を摘出し、凍結切片を作成する。組織学的観察は上記と同様にH.E.染色とベルリンブルー染色を行う。また、上皮化促進効果を観察するため、細胞増殖時に多く観察されるKi67 などの免疫染色を行って比較検討する。 mRNA レベル、タンパクレベルでの解析においては家兎の角膜を摘出の際、組織の一部をmRNA レベル、タンパクレベルでの解析を行うため分取し、それぞれサンプルの調整を行う。hAM-MSCs の影響を観察するため、免疫調節系サイトカイン( TNF-a, MIP-1a, MCP-1)、抗炎症性サイトカイン(TGF-b)、血管新生関連分子(VEGF、MMP-2、TSP-1)などの測定をReal-time PCR またはELAISA 等で行う予定である。
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Causes of Carryover |
試薬を節約して使うことができたため、次年度使用額が多少発生いたしました。次年度においてはその分、試薬として合わせて使うよてである。
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