2018 Fiscal Year Research-status Report
VEGF治療耐性を惹起するエピジェネティクスの解明
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17K11469
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高木 均 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70283596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 康史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (10367352)
塩野 陽 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (20737598)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はエピジェネティックな機構として、ヒストンH3K9の脱メチル化酵素であるjmjd1aに注目して実験を行っている。jmjd1aノックアウトマウスでは高酸素負荷条件での飼育が困難なため、ヘテロマウスを作成して実験を行っているが、ヘテロマウスでは血管新生への影響が見られなかった。しかしながら現時点では個体差の可能性も否定できないため、今後再現実験を行う予定である。 一方、糖尿病網膜症の細胞障害におけるDAMPとしてのヒストンにも注目している。In Vitroの実験ではHuman umbilical vein endothelial cellsを用いてsiRNAにてTLR4をノックダウンし細胞外Histoneを添加しqPCRを用いて転写されたVEGFのmRNAの定量化を行った。その結果Histone H2B,H3はTLR4を介してVEGF発現を増加させ、他のDAMP分子よりも強力なVEGF誘導を行うことが明らかとなった。さらに、In vivoではTLR4 knock out miceを用いてOxygen induced retinopathy(OIR)モデルを作成し網膜血管形態の観察を行った。その結果TLR4をknock outすることで、低酸素時の血管形態異常を生じないばかりか、低酸素による血管新生を全く生じない結果となった。このような結果よりDAMPとして障害時に細胞外に放出されるヒストン分子も網膜血管障害に重要な役割を担っていることが見いだされた。 今後はjmjd1aノックアウトマウスの研究と平行して、DAMPとしてのヒストン分子の役割を明らかにしていく。結果ヘテロマウスでは血管新生への影響が見られなかったが、ノックアウトマウスでは予想に反して虚血領域の拡大がみられた。しかしながら現時点では個体差の可能性も否定できないため、今後再現実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
jmjd1aノックアウトマウスのフェノタイプを確認できる実験系が確立され、jmjd1aが未熟児網膜症モデルマウスにおける異常な網膜血管へ影響していることがこれまでの実験にてわかった。現在までに虚血状態による網膜にjmjd1aが関与している事が判明している。一方細胞外に放出されるヒストンの働きに注目し、培養細胞、TLR4ノックアウトマウスにおけるヒストンタンパクのVEGFへの影響を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は虚血状態での網膜血管へのjmjd1aの影響の再現を行い、それらのメカニズムの解析を行う。 血管内皮細胞を低酸素状態で培養し、siRNAを用いてjmjd1aのノックダウンを行い、DNAマイクロアレイとCHIP- sequenceによる解析から、jmjd1aのターゲットとなる遺伝子の解明を目指す。また、これと平行して細胞外に分泌されるヒストンタンパクの未熟児網膜症モデルへの影響、臨床サンプルでのヒストンの上昇について検討中である。
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Causes of Carryover |
今年度は前年度購入の抗体・試薬等が残っていたためそれを優先して使用した。そのため残額が生じた。次年度は新規実験を予定しているため、動物、消耗品等の購入予定である。
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Research Products
(32 results)