2017 Fiscal Year Research-status Report
Time course of retinal blood flow in diabetic pigs
Project/Area Number |
17K11473
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
長岡 泰司 日本大学, 医学部, 准教授 (00333691)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 糖尿病網膜症 / 血管内皮障害 / 眼血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
(基礎研究)遺伝子改変糖尿病モデル動物を用いた研究の実験を行った。遺伝子改変糖尿病ブタでは確実に高血糖を惹起させることが可能であること、インスリン治療によって血糖を正常化させることが可能であることなどを確認した。さらに一定観察期間後に安楽死して眼球を摘出して組織学的検討を行ってみると、正常血糖ブタに比べて、糖尿病モデルブタでは網膜血管走行異常が認められ、糖尿病網膜症の初期病変と類似していた。さらに、ミクログリアの活動性についても検討し、遺伝子改変糖尿病ブタの網膜ではミクログリアの活性化が認められることを確認した。ブタ摘出血管の研究では、SGLT2阻害剤などの新しい糖尿病治療薬やフィブラート系の脂質異常症治療薬、さらにレニンアンジオテンシン系阻害剤などの高血圧治療薬の網膜血管に及ぼす影響を評価し、眼血流改善効果のある薬剤の探索を行っているところである。さらに動物用の網膜電位図(ERG)を設置して、遺伝子改変糖尿病ブタでの測定が可能であるかどうか検討を進めているところである。 (臨床研究) 血糖コントロール入院患者の血糖コントロール前後での眼血流を眼血流装置を用いて評価し、網膜症病期との関連についても検討したいと考えている。具体的には、糖尿病腎症と網膜症・網膜血流との関連に着目して、腎機能が黄斑浮腫に及ぼす影響についての検討を進めている。さらに、全身血管内皮機能と黄斑浮腫との関連についても検討し、黄斑浮腫症例では内皮機能の減弱が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、遺伝子改変糖尿病モデルブタの確立は完了している。この実験により、長期間の持続高血糖により網膜症様変化を示すことが明らかとなっている。組織学的検討についても実験系を確立することができた。今年度は実際に所属施設での飼育を開始して、実験計画通り、眼血流と網膜神経機能の経時的変化を観察する予定である。眼血流装置の設置、もう膜電位図の設置、摘出ブタ網膜血管実験装置の設置はいずれも問題なく終了しており、すでに稼働している。以上より、今後の研究計画は問題なく、かつ速やかに実行に移すことができると予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改糖尿病モデル動物での網膜症が発症することの再現性を、眼底観察、蛍光眼底造影検査、さらには光干渉断層計(OCT)を用いて経時的に検討する。さらに安楽死後に摘出した眼球を用いて、網膜血管構築とグリア細胞の関連について組織学的に詳しく検討する一方、摘出血管を用いた実験系で血管機能の異常の有無についても確認する。さらに特殊な装置を用いて眼血流と網膜機能を経時的に評価して、それらの関連性についても検討する。一方、遺伝子改変モデルブタは入手可能な頭数に限りがあるため、それを補うべく、糖尿病モデルマウスやラットなど実験対象動物を拡大して研究を補完する必要もあると考えている。
|
Causes of Carryover |
1)遺伝子改変糖尿病動物の安定供給に時間がかかったため 2)眼血流装置、網膜電位図測定装置、摘出血管記録装置、蛍光眼底造影検査装置などの特殊な実験機器を購入・修理するのに時間がかかったため 3)特に摘出血管の実験系については、施設間の異動に際して、いろいろな問題が生じたため、設置に時間を要したため、実験の本格稼働までにかなり時間がかかったため 以上の理由が考えられるが、いずれもすでに解決済みである。今年度以降の研究方針には何ら問題は生じないと考えられる。
|