2017 Fiscal Year Research-status Report
アルドステロンによる網膜神経節細胞死のメカニズムの解明
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17K11483
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
廣岡 一行 香川大学, 医学部, 准教授 (10325350)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血漿アルドステロン濃度 / 網膜神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:アルドステロン全身投与後の血漿アルドステロン濃度と網膜神経節細胞の障害の関係を明らかにすること。 方法:ラットの皮下にオスミックポンプを埋め込み、アルドステロン(40, 80, 160 μg/kg/day)と基剤を投与した。2週後に血漿アルドステロン濃度をELISA法にて測定した。6週後には眼球を摘出し、網膜伸展標本を作成した後、網膜神経節細胞数を評価した。 結果:基剤、40, 80, 160 μg/kg/dayアルドステロン全身投与後の血漿アルドステロン濃度はそれぞれ212±18 pg/ml, 366±94 pg/ml, 478±75 pg/m, 1790±473 pg/mlであり、160 μg/kg/dayアルドステロン投与により血漿アルドステロン濃度は有意に上昇した(P<0.001:ダネットの多重比較)。また網膜神経節細胞数は基剤、40, 80, 160 μg/kg/dayアルドステロン全身投与で、それぞれ2688±407 /mm2, 2240±357 /mm2, 2086±338 /mm2, 137±110 /mm2であり、80 μg/kg/day 及び160 μg/kg/dayアルドステロン投与により網膜神経節細胞数は有意に減少した(P <0.001:ダネットの多重比較)。また血漿アルドステロン濃度と網膜神経節細胞数には負の相関を認めた(r=-0.911, P<0.001:ピアソンの相関係数)。 結論:血漿アルドステロン濃度の上昇に伴い網膜神経節細胞数は減少し、両者の関係は強い負の相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は今年度で血漿中アルドステロン濃度と網膜神経節細胞の障害程度を明らかにすることであったため、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
アルドステロンの網膜血流速度に与える影響 エンドセリン-1投与により血流が低下すると網膜内層の障害が生じることからもわかるように、慢性的な虚血が緑内障の病因の一つではないかと考えられている。アルドステロンを投与することにより、血管内皮細胞の機能が低下することが知られており、網膜においても慢性的な虚血が生じ、そのために神経節細胞死が生じている可能性が考えられる。アルドステロンの投与により、網膜の血流がどのように変化するのかを明らかにする。
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Research Products
(5 results)