2018 Fiscal Year Research-status Report
傷害網膜における組織再構築に関わる細胞間シグナルの解明とその制御機構の探索
Project/Area Number |
17K11485
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福島 美紀子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (10284770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 俊洋 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (00317025)
高橋 枝里 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60622602)
伊藤 康裕 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70380996)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 眼科 / 再生医学 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治網膜疾患に対する網膜再生治療のより有効かつ安全な移植技術開発のための基盤研究として、傷害組織における神経・グリアー血管相互作用、グリア瘢痕化形成、色素上皮細胞の分化誘導能、上皮間葉転換に関わる分子メカニズムについて解析を行った。生体イメージングモデルを作成し炎症反応を可視化、量的質的解析を可能とした。 (1)網膜ミクログリア細胞の単離と発現の解析:前年度より継続して傷害網膜内のミクログリアの機能を明らかにするため性質の異なるサブタイプに特異的なマーカーを用いて各種傷害網膜におけるミクログリアの発現を解析した。またミクログリアを単離し、機能解析を行った。血管内皮、神経幹細胞の相互作用を解析するため共培養法に着手した。 (2)色素上皮細胞の分化誘導能、上皮間葉転換に関わる分子メカニズムの探索:色素上皮細胞を単離しサイトカイン刺激による上皮間葉転換を行い、細胞内シグナルの解析を行った。 (3)線維芽細胞の分化を制御する分子メカニズムの解析: 組織再生に影響する炎症制御の破綻状態である線維化の分子機構を線維芽細胞の培養系を用い炎症の慢性化を誘導、維持する分子の相互作用を明らかにした。 (4)生体イメージングモデルの導入:炎症反応の抑制に関わる分子の探索に生体イメージングモデルを導入した。今後遺伝子改変マウスを用いることで分子メカニズムについての解析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)視神経傷害モデルにおいてミクログリアのサブタイプ解析、機能解析を行い、傷害時におけるミクログリアの機能を明らかにした。 (2)組織再生に影響する炎症制御に関しては、ヒト線維芽細胞を用い筋繊維芽細胞への分化転換に関わるTGF-βの発現と炎症性サイトカインの相互作用を明らかにした。 (3)2光子励起顕微鏡を用いた生体イメージングモデルを作成し細胞の活動性を質的量的に解析することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
組織再生に影響する炎症制御の破綻機構を明らかにするため、遺伝子変異マウスでの解析を準備している。当初予定していた網膜幹細胞を用いた共培養の実験は網膜幹細胞の増殖能が低く遂行が困難であることから引き続き胎仔脳由来神経幹細胞、ミクログリアを用いて解析を進める予定である。
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