2018 Fiscal Year Research-status Report
機能性miRNAによる角膜上皮幹細胞の生体恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
17K11487
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中村 隆宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (30411078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 角膜上皮 / 幹細胞 / miRNA / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々人類は外界からの情報の90%以上を視覚から得ており、この重要な視覚情報を担う眼球の中で、角膜は前眼部を構成する主要組織である。特に角膜上皮は外界と絶えず接し、物理学的にも生理学的にも極めて重要な機能を担っている。これまでの一連の細胞生物学的な研究から、角膜上皮幹細胞は角膜輪部に存在することが間接的な状況証拠から報告されているが、その幹細胞の分子レベルにおける生理機構、細胞動態に関してはほとんど解明されていない。そこで組織幹細胞を用いた角膜再生医療の臨床基盤技術開発を念頭に、角膜上皮幹細胞の生体内での恒常性維持機構を分子レベルで解明することを主目的とし、近年の精力的な基礎研究から、タンパク質をコードしていないnon-coding RNAの一種であるmiRNAに注目した。解析方法として、スイス連邦工科大学より導入した角膜上皮幹細胞の単一細胞レベルでの網羅的な機能性miRNAプロファイルを作成し、miRNA 205がヒト角膜上皮幹細胞で有意に発現が亢進していることを、複数のヒト角膜上皮細胞群においてその再現性を確認した。miRNAは生体内の様々な部位に存在し、発生・分化・癌化などの生命現象や幹細胞分化制御に深く関与していることが報告されている。そこで、miRNA205の生体内での機能解析を行った。方法としては、近年の最新の遺伝子組み換え技術を応用して、miRNA-205の遺伝子改変マウスの作成を試みた。miRNA-205ノックアウトマウスは胎生期に皮膚の形成不全により致死的であった.次にmiRNA-205のより組織特異的な機能解析を行うため、上皮基底細胞マーカーであるKeratin 5に特異的なmiRNA-205 conditionalノックマウスの生体創出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
角膜上皮幹細胞の単一細胞レベルでの網羅的な機能性miRNAプロファイルを複数作成した結果、miRNA-205がparacloneタイプと比較して、holocloneタイプのヒト角膜上皮幹細胞群で有意に発現が亢進していることを、複数のヒト角膜上皮細胞群において確認した。また、miRNA-205ノックアウトマウスの創出に成功し、胎生期において皮膚の形成不全により致死的であることを確認した。さらにより上皮細胞特異的なmiRNA-205の機能解析を行うため、Keratin 5に特異的なmiRNA-205 conditionalノックマウスの生体創出に成功した。従って、現在までの進捗状況としては、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
miRNA-205ノックアウトマウスの創出に成功し、胎生期において皮膚の形成不全により致死的であることを確認した。またKeratin 5に特異的なmiRNA-205 conditionalノックマウスの生体創出に成功した。よって、今後は両マウスの胎生期前後および胎生期から経時的に眼球をサンプリングして角膜の形態発生を肉眼的・組織学的に観察する。特に表面外胚葉から角膜上皮細胞へと特異的に分化する胎生期(E11.5-P0)には注意深く考察を加える。同時に、角膜周辺組織(結膜、眼瞼、マイボーム腺等)の形態学的考察を加え、角膜との関連性も検討する。また特徴的な表現型が観察される場合は必要に応じて走査型・透過型電子顕微鏡等を用いて細胞レベルでの詳細な形態学的観察を行う。
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Research Products
(3 results)