2018 Fiscal Year Research-status Report
単純口腔粘膜上皮細胞移植法の家兎モデルでの検討と臨床応用
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17K11492
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山上 聡 日本大学, 医学部, 教授 (10220245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎元 暢 日本大学, 医学部, 准教授 (20465272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 角膜上皮幹細胞疲弊症 / 口腔粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで角膜上皮幹細胞疲弊症に対し、培養自己輪部上皮、培養自己結膜上皮、口腔粘膜上皮細胞シート移植を臨床で行って来た。しかし再生医療新法が厳格に適用され、非常に高いコストと膨大な申請書類を必要とするため再生医療の実施が困難になっている。このような現状を背景として、再生医療にかわる新たな移植法として、両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症に対し自己の結膜上皮細胞を移植する方法の臨床応用を行ってきた。今年度はさらに難治性の眼表面疾患に対して、再生医療によらない自己口腔粘膜上皮細胞移植の有効性を明らかにしていくことを目的とした研究を行った。 本年度は家兎角膜上皮幹細胞疲弊症モデルを作製し、再生医療によらない自己口腔粘膜上皮細胞移植群と移植を行わないコントロール群での比較をおこなった。術後2週後で移植を行わないコントロール群は角膜上の上皮層の再生が起きていなかったが、自己口腔粘膜上皮細胞移植群では上皮化が得られていた。免疫組織化学的検討ではコントロール群では発現のみられなかった基底細胞のマーカーであるp63と未分化マーカーのK15の発現が、自己口腔粘膜上皮細胞移植群ではその発現が認められた。 以上より家兎角膜上皮幹細胞疲弊症モデルにおいて自己口腔粘膜上皮細胞移植群では上皮層が回復し、口腔粘膜の上皮が癌表眼を覆っていることが示された。今後はヒトの口腔粘膜上皮での移植に適して採取法の検討を行い、臨床応用を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難治性の眼表面疾患に対して、再生医療によらない自己口腔粘膜上皮細胞移植の有効性を明らかにしていくことを目的とした研究を行ってきた。結果として家兎を用いて口腔粘膜を採取し、幹細胞を含むか否かを検討したところ、移植に用いる細胞は口腔粘膜上皮の基底層と類似の細胞が存在していた。更に家兎角膜上皮幹細胞疲弊症モデルを用いて自己口腔粘膜上皮移植を行ったところ、コントロール群に比べて明らかに眼表眼が再建されていることが明らかとなった。動物実験におけるデータは概ねそろっため順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは家兎を用いた検討を行ってきたがヒトの口腔粘膜を用いた検討はまだ行っていない。そこで今後はヒトの口腔粘膜を採取し、移植に最適な条件を明らかにするなどの検討を行う予定である。具体的には、口腔外科に協力をいただき抜歯時の余剰の歯根部組織を用いて、ヒト口腔粘膜の検討を実施する。得られるヒト口腔粘膜上皮を用いて家兎での酵素の種類、濃度、反応時間のデータを元にディスパーゼ、EDTAによるヒト口腔粘膜幹細胞採取法の再検討を行い、幹細胞を含んだ口腔粘膜上皮採取の最適の条件を決定する。獲得された口腔粘膜上皮と上皮下組織の組織学的検討を行い、上皮組織の剥離状態を検討する。剥離上皮で培養を行い、分化型マーカーや未分化マーカーでの染色を行い、眼表面再建を維持する因子の確認を行うなどより一層臨床に近づけるための検討を考えている。
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