2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模疫学調査による小児泌尿器科疾患の自然史の解明
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17K11503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浪間 孝重 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70282069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 清英 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00271908)
川守田 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00617524)
海法 康裕 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30447130)
嶋田 修一 東北大学, 大学病院, 助教 (80749218)
伊藤 淳 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80466557)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児外陰部疾患 / 自然史 / 発生頻度 / 停留精巣 / 陰嚢水腫 / 包茎 / 環境ホルモン / エコチル |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)は環境因子が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とした、大規模な縦断的疫学調査である、本研究は、停留精巣・陰嚢水腫、包茎などの小児外陰部疾患の正確な発生頻度や自然史を明らかにするべく、エコチル調査宮城ブロックに分担研究社として参加し、独自の調査票を用いて小児外陰部疾患の自然史を追跡している。9217人の登録のうち男児4438人を対象に、これまで生後1ヶ月、6ヶ月のデーター1.5歳(18カ月)のデーターを追加した解析をおこなった。停留精巣・陰嚢水腫、包茎の自然史について、停留精巣の割合は1ケ月目 0.6 %(11/1641 例)、6 ケ月目0.7 %(8/1215 例)、1.5 歳 0.8% (9/1141 例)、陰嚢水腫の割合は 1 ケ月目 1.3 %(22/1684 例)、6 ケ月目 5.7 %(11/1226例)、1.5 歳 4.5% (52/1168 例)、亀頭が見える割合は 1 ケ月目2.9%(48/1692 例)、6 ケ月目 10.4 %(128/1229 例)、1.5 歳25.4% (290/1141 例)と判明した。停留精巣に対する母親の背景因子の解析では、1ヶ月、6か月では特に関連のある因子は認めなかったが、1.5 歳の多変量解析では切迫早産、常位胎盤早期剥離の既往、低所得(年収400万以下)が停留精巣発症の関連因子として残った。母親の特定の食品摂取との関連について、乳製品を多量に摂取していると停留精巣が多い傾向であった(OR7.91, 95%CI: 1.92-32.47)。一方でエストロゲン、プロゲステロンなどの母側のホルモン環境との関連は認めなかった。現在、エコチル宮城ブロックでは3歳時の調査票の回収、回答のデーター化が終わり、3歳児のデーターの解析に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、6カ月および1.5歳(18カ月)に比べて3歳時に宮城ブロックの調査では、当科も含め参加グループの質問票の項目が多くなったため、宮城ユニットセンターで行われるデーターの固定に時間がかかった。3歳時の解析は平成30年度に持ち越され現在施行中である。しかしながら、エコチル調査自体は環境庁主導のプロジェクトであり、対象症例のフォローアップおよび質問票の施行および回収といったプログラムは予定通り進んでいる。今後このような大規模縦断的疫学調査が行われる可能性は極めて少ないと考えており、この機会を逸することなく着実なデーター収集・解析を続けていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
3歳時の調査票データー解析をつづける。3歳時からは夜尿症の質問項目が追加されており、夜尿症のデーターが新たに加わる予定である。3歳における停留精巣・陰嚢水腫、包茎の発生頻度および自然史の把握、および3歳時の夜尿症の実態が解明される予定である。一方、1.5歳時までのデーターで統計学的有意差を認めなかった項目、たとえば、母側の因子である化学物質の曝露、生活環境、生活習慣、内分泌環境および、エストロゲン、コルチゾールなどのホルモン環境と各疾患発生や自然消退との関連に関しても、3歳時のデーターを追加して引き続き解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
宮城ユニット本部で行われるデーターの固定が遅れたため、次年度使用額が発生した。次年度使用額は平成30年度の助成金と合わせ小児泌尿器疾患、夜尿症、母親の背景因子に関わる調査費として使用する予定である。
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