2018 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管奇形に対する漢方薬による制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K11507
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小川 恵子 金沢大学, 附属病院, 特任准教授 (30514575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 秀一郎 日本大学, 医学部, 准教授 (00448060)
酒井 清祥 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (20735112)
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90332741)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リンパ管奇形 / 漢方薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、リンパ管奇形(LM:Lymphatic Malformation)に対して越婢加朮湯を投与すると病変が縮小することから、mTORシグナルネットワークを介したリンパ管増殖抑制効果により病変を縮小させるという仮説の立証をおこなう目的で、本研究を計画した。 まずはリンパ管内皮細胞に対する越婢加朮湯の増殖抑制効果の検証を行おうと考えた。文献検索を含めた症例検討では、越婢加朮湯の方が効果が高いとする報告が多いためである。 正常なリンパ管内皮細胞を培養・継代し、越婢加朮湯を培地に加えたが、有意な変化は無かった。手術を受けるような症例が集積しなかった関係で、リンパ管奇形患者のリンパ管内皮細胞を取得することが、2017年度には困難であった。そのため、現在は、実際にリンパ管奇形から得られたリンパ管上皮細胞を採取し、継代・培養する手法を動物細胞にて習得して準備し、待機中である。さらに、同様な研究が行われていないかを学会に参加して情報収集を行った。リンパ管奇形に対する研究は無かったが、悪性腫瘍に対する増殖抑制効果に関する植物製剤の検討については報告が有り、参考にすべき点もあった。また、学会での発表に際しては、漢方薬による薬物保存治療に対する注目も高かった。 また、越婢加朮湯の抗炎症作用や細胞増殖抑制作用、を明らかにするために、既に実験細胞として確立している成人の頭頸部がん細胞でのmTOR、Akt、ERKなどのリン酸化と発現/分布の解析を行った。さらに、同様な研究が行われていないかを学会参加や文献検索にて情報収集を行い、黄耆建中湯の構成生薬に上記のような報告が多いことを確認した。漢方薬による薬物保存治療に関する報告も多く認められ、実験手法も含めて検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は、リンパ管奇形に対して越婢加朮湯を投与すると病変が縮小することから、mTORシグナルネットワークを介したリンパ管増殖抑制効果により病変を縮小させるという仮説の立証をおこなう目的で、まずはリンパ管内皮細胞に対する越婢加朮湯の増殖抑制効果の検証を行おうと考えた。しかし、リンパ管奇形のリンパ管内皮細胞が入手困難であったため、当初の予定よりもやや遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ管奇形由来の組織とリンパ管内皮細胞が入手困難であったため、当初の予定よりもやや遅延している。そのため、まずは越婢加朮湯の抗炎症作用や細胞増殖抑制作用を明らかにするために、既に実験細胞として確立している成人の頭頸部がん細胞でのmTOR、Akt、ERKなどのリン酸化と発現/分布の解析を行った。今後、この結果を解析し、追加実験を行う予定である。また、同様な研究を黄耆建中湯についても検討している。 さらに、リンパ管奇形由来細胞を取得するため、新たな分担研究者による内視鏡的アプローチでの組織取得を予定している。
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Causes of Carryover |
申請者は、分担者より、リンパ管内皮細胞の提供を受け、リンパ管内皮細胞に対する越婢加朮湯の増殖抑制効果の検証を行う予定であった。しかし、分担者の異動があったこと、手術を受ける患者がいなかったことにより、リンパ管奇形のリンパ管内皮細胞が入手困難であったため、当初計上していた予算を分担者が使用しなかった。そのため、次年度使用額が発生した。また、細胞の提供がなかったため、当初代表者が行う予定であった実験が一部進まなかった。今年度残額分は、代表者が研究を進めることと、次年度に各分担者が研究打合せ等に使用すること、さらに、検体を得るために分担者を新たにお願いすることに使用することとする。
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