2018 Fiscal Year Research-status Report
腸管壁内の生体内微小循環解析からみた壊死性腸炎の病態解明と治療戦略
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17K11508
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小池 勇樹 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10555551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 恵一 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30293781)
井上 幹大 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30422835)
大竹 耕平 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (40378344)
松下 航平 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70750777)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 壊死性腸炎 / 新生児 / 壊死性腸炎モデルマウス / 腸管壁内微小循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Remote ischemic conditioning(RIC)という心臓血管外科領域では臨床研究がなされ、その有効性が報告されている手法を、壊死性腸炎モデルに適用し、その効果判定を分子生物学的なアプローチだけでなく、二光子レーザー顕微鏡を用いた新生児マウスの腸管内微小循環の生体内観察と解析を併せることで、より信頼性の高い実験と生体内での変化を捉えるというトランスレーショナルリサーチとしても有益性の高いものである。 2017年度までに、新生児壊死性腸炎モデルの作成と、二光子レーザー顕微鏡を用いて、新生児マウスの小腸微小循環を生体内観察する手法を確立した。さらに実験結果の再現性を確認するため、同モデルを用いた実験を繰り返し行っており、その腸管微小循環の状態を、腸管粘膜~漿膜面に至るまで、各層において、観察・動画の記録を行っている。2018年度は、正常マウスと壊死性腸炎モデルマウスとの比較を行い、壊死性腸炎モデルマウスでは、正常マウスと比べ、微小循環不全が発症していることを二光子レーザー顕微鏡を用いた解析で証明した。 さらに、現在は、メインの研究内容であるRICを正常マウス、壊死性腸炎マウス共に導入することで、それぞれのマウスの腸管微小循環において、どのような変化が生じているかを観察・解析を試みている段階である。これまでにRICが壊死性腸炎モデルマウスにおいて、腸管微小循環不全に対する予防的・治療的効果が認められることが実験結果より証明されている。 このように、研究開始から現時点まで、順調に研究が進行している状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず正常の新生児マウスにおける腸管壁内の微小循環を生きたまま二光子レーザー顕微鏡を用いて観察・録画することに成功している。このデータを解析することで、腸管壁内の微小循環(微小血管における血流速度や血流量など)を客観的に評価できることを確認している。さらに正常マウスと壊死性腸炎モデルマウスにおいては、壊死性腸炎モデルマウスの作成最終日(生後9日目)において、有意に傷害腸管における微小循環不全が見られており、血流速度や血流量の低下が発生していることだけでなく、それらの微小循環不全により、傷害腸管において絨毛の先端より細胞の壊死性変化が発生していることが証明された。これをリアルタイムで評価できたのは、世界初であり、複数の国際学会などでも報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、実験動物モデルの観察匹数を増やし、その腸管微小循環の観察と解析を繰り返すことで、「壊死性腸炎モデルマウスでは、腸管微小循環不全が起こっている」ことを証明してきた。 その上で、今後は、RICを正常マウス・壊死性腸炎モデルマウスの両群に導入し、RICが生体にとって、有害ではないかどうか、壊死性腸炎の病態に対して、有効な治療法・予防法となり得るかどうかを、さらに検証していく最終段階に到達する予定である。 具体的には、RICを導入した群において、屠殺後の小腸(回腸末端近傍)サンプルから、H&Eによる組織学的な障害程度を他の群と比較し、さらにサンプルからmRNAを抽出し、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインなどの発現に関しても、他の群と比較検討を行う。 また、正常マウスに導入したRICが、身体的に悪影響を及ぼすようなものでないかどうか、即ち安全性に関して問題がないかどうかの確認も、RIC導入後のマウスと正常マウスにおいて、神経学的評価を行う方針である。 次に、正常マウス・壊死性腸炎マウス・正常マウス+RIC導入・壊死性腸炎マウス+RIC導入の4群にわけて、これまで自身が構築してきた2光子レーザー顕微鏡を用いた生体内小腸壁微小循環観察と解析の手法を用いて、評価を行う。これにより、実際の生体内において、RICという手技が小腸の微小循環において、どのような効果を発揮しているのかどうか、またRICにより壊死性腸炎マウスに対する治療効果が期待できるかどうかを評価する。 また硫化水素(H2S)のようなGas transmitterに着目し、それらがRIC導入により産生亢進が発生しているかどうかを検討することで、RICの小腸における微小循環改善のメカニズムに関しても、検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
正常マウスと壊死性腸炎マウスにおける小腸における組織障害や炎症状態の比較検討を行ってきたが、引き続きRemote ischemic conditioning(RIC)により、それら正常マウスと壊死性腸炎マウスの小腸への影響を比較検討していく必要がある。そのため、今後使用していくマウスの匹数だけでなく、それらの小腸サンプルを用いた追加実験を続けていく必要があるため次年度使用額が必要となる。
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Research Products
(2 results)