2017 Fiscal Year Research-status Report
突然変異抑制遺伝子MTH1の小児固形悪性腫瘍における発現解析と新規治療への応用
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17K11511
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武本 淳吉 九州大学, 大学病院, その他 (60621711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孝橋 賢一 九州大学, 医学研究院, 講師 (10529879)
田口 智章 九州大学, 医学研究院, 教授 (20197247)
木下 義晶 九州大学, 大学病院, 准教授 (80345529)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / 酸化ストレス / MTH1 / 8-OHdG / 免疫組織化学染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行期小児固形悪性腫瘍は従来の集学的治療においても予後不良であり、新たな治療法の開発が望まれている。MTH1は酸化ストレスによる遺伝子変異を修復する機構に関わる酵素であるが、悪性腫瘍においてMTH1抑制により腫瘍死をもたらす可能性が報告されている。 今年度は、神経芽腫67例でMTH1および酸化ストレスによる遺伝子変異の原因とされている8-OHdGの免疫組織化学染色を行い発現解析した。それぞれの抗体で陽性細胞の割合をスコア化し高発現群と低発現群に分けて比較検討を行った。 まず、免疫組織化学的評価では、8-OHdGは全症例で陽性細胞を認め、36%(24/67)の症例で高発現していた。MTH1は42%(28/67)で高発現を呈していた。 続いて、MTH1と8-OHdGとの関連を検討したところ、MTH1高発現症例は低発現例に比較し、有意に8-OHdG高発現症例が多い傾向にあった。 以上の所見より、神経芽腫において酸化ストレスによる遺伝子変異が生じていることが示唆され、修復機構としてMTH1が発現している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究により、代表的な小児固形悪性腫瘍である神経芽腫で酸化ストレスによる遺伝子変異が起きている可能性が示され、それに伴い修復酵素であるMTH1が8-OHdGに相関して発現していることが分かった。概ね想定した結果が得られており、順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
OGG1、MUTYHといった他の遺伝子修復酵素の発現について解析し、MTH1、8-OHdGとの関連を検討する。また、MTH1抑制による抗腫瘍効果を評価し、新規治療の標的となる可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
Realtime PCR法による評価を29年度から30年度にかけて継続するため。 次年度は加えてOGG1、MUTYHといった他の遺伝子修復酵素の発現について解析し、MTH1、8-OHdGとの関連を検討する。
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