2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒルシュスプルング病に対する腸管神経系の分化誘導による新しい再生治療法の開発
Project/Area Number |
17K11521
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田中 奈々 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50530656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦尾 正彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (00213504)
宮原 克 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術員 (00420844)
藤原 なほ 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (20589543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒルシュスプルング病 / 腸管神経系 / 腸管神経堤細胞 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ヒルシュスプルング病(HD)における腸管神経系の動態異常を調べるにあたり、神経線維の増生や方向性に深くかかわる、微小管に着目した。一般的に、チューブリンのアセチル化は微小管構造の調節および安定性に関与し、神経細胞の様々な機能において重要な役割を果たしているが、今回我々は、前年度に作製したHDモデルマウスであるエンドセリンB受容体(EDNRB)ノックアウトマウス(KO)の胎仔腸管の神経細胞におけるアセチル化チューブリン(Ac-Tub)の発現と神経線維増生との関連を検討した。 胎生期13.5日(e13.5)、16.5日(e16.5)の胎仔より有神経堤細胞領域の腸管を採取し、神経細胞マーカーTuj 1抗体とAc-Tub抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、Tuj1陽性神経細胞におけるAc-Tubの発現パターンを調べた。また、Sox10は、未熟な神経細胞には発現するが、成熟すると発現しないため、Tuj1とSox10を共発現する細胞の割合を算出し、神経細胞の成熟度も調べた。 Sox10発現細胞はe13.5およびe16.5においてTuj1陽性(+)あるいは陰性(-)を示し、WT群とKO群間で顕著な違いは見られなかった。E16.5おけるSox10とTuj1を共発現する細胞の割合は、KO群でWTに比べ有意に高かった。Tuj1(+)の細胞体におけるAc-Tub発現率は、e13.5からe16.5 においてWT群では減少し、KO群では増加する傾向があった。 すなわち、HD腸管においては未熟な神経細胞の割合が高く、また、チューブリンの過剰なアセチル化が、HD腸管の正常な神経線維の増生を阻害する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に実施する予定であった、HD腸管におけるラミニンの効果を調べる実験は、昨年度に前倒して行い、HD腸管においては、正常腸管でみられたラミニン添加による神経発達効果はみられず、またHD腸管における無神経節腸管のラミニンの発現は高いことが示唆された。この結果を踏まえ、今年度はラミニンの受容体であるインテグリンに着目し、腸管におけるインテグリンの発現の調査を開始したが、免疫染色の条件設定を調整するにとどまった。今年度は、同時進行にて、神経細胞の発達において非常に重要な働きを持つ微小管のチューブリンのアセチル化に着目し、上記結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は一昨年度の結果を踏まえ、正常腸管とHD腸管におけるラミニンの受容体であるインテグリンの発現を免疫染色およびRT-PCRにて調査し、部位別・発達段階別に調査する予定。
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Causes of Carryover |
海外で行われる国際学会で発表する予定であったが、国内で開催された国際学会へ参加し、海外へは行かなかったため、旅費が大幅に削減された。
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Research Products
(4 results)