2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of pressure valve puncture type shunt tube kit for fetal urinary tract obstruction and fetal pleural effusion
Project/Area Number |
17K11523
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
北川 博昭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80153097)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
關 保二 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (20309462)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 胎児治療 / 胎児期尿路閉塞 / 膀胱羊水腔シャント / 多嚢胞性異形性腎 / 排尿障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在まで株式会社八光が作成したシャントチューブが胎児胸水、尿路閉塞に臨床使用されている。本疾患は年間症例が少なくどの企業もシャントの製品化に時間とお金が必要で採算は取れない。その為、新たな製品の開発が行われていない。過去に行われた胎児尿路閉塞症例の長期予後報告から腎機能を温存する目的に膀胱-羊水腔シャント術を施行したが出生後の腎機能が改善しない点や、自己排尿が出来ない点が示され良好な予後は期待できなかった。 また、我々の羊を用いた胎児実験から、尿路閉塞での胎児治療は妊娠早期であれば腎機能が温存できる可能性が高いことが示唆された (Hiroaki Kitagawa; J Pediatr Surg 41;394-402,2006)。同時に胎児期に膀胱機能を温存するには膀胱に定常圧をかけることが重要であり、胎児期に膀胱の拡張と収縮を保つことで排尿が維持されることがわかった(Hideki Nagae, Hiroaki Kitagawa et al; Journal of Pediatric Surgery 41, 2086-2089, 2016) 。研究費を用いた実験で富士システムズ株式会社研究開発本部 特許室製品開発部との共同開発で開発したシリコンチューブを用いて、定常圧を持つマイクロ圧調整バルブ技術を応用し、胎児尿路閉塞症用シャントチューブを用いた羊実験を継続した。現在までの穿刺キットが穿刺針の形態から子宮壁からの穿刺時に羊膜を巻き込む事が予想され、Otago大学倫理委員会から修正する指示が出たためたため穿刺キットの外套と内套の隙間を無くした穿刺キットが作成できた。 2018年度は新たな改良型穿刺キットを用いて子宮の表面から羊膜を巻き込むこと無く拡張した尿路閉塞の膀胱内にシャントチューブを挿入することが出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は6月から9月までに3回Wellingtonとの共同実験をおこなった。 初回尿路閉塞は6月25日から3日間で作成した。羊の胎生60日のオスでは尿道と尿膜管の両方を結紮、メスでは膀胱頚部と尿膜管を結紮した。今回、臨床で経験するPUJ (pyro ureteric junction) 閉塞モデルを想定した尿管結紮モデルも作成した。初回手術から3週間経過した7月17日から2回目のシャント手術をおこなった。全身麻酔下に前回指摘された穿刺針先端部を改良して羊膜が引き込まれないよう穿刺針の外套と内筒の間隙を小さくなるように修正した。また、穿刺針先端部の形態も変更した。羊を開腹して子宮壁を視野に出して腹部超音波を用いて子宮壁から胎児の拡張した膀胱内に針を挿入しシャントチューブの挿入を試みた。画像上は綺麗に膀胱内にシャントチューブを見ることができ、チューブを目的部位に届けることが出来た。1例は挿入時にシャントのパンタグラフが手に引っかかり自然抜去された。残りのシャントチューブが膀胱内にある事を確認し、3回目は9月17日の満期に帝王切開で胎仔を娩出させシャントチューブの位置を確認した。シャントの穿刺針とシャントチューブの隙間の改良でこの間隙に羊膜が入り込むトラブルは見られず改良は順調に進んだ。倫理委員会から今回のパイロットスタディーで認められた尿路閉塞モデルは5匹であったためより多くのモデルで穿刺を繰り返したい。今回シャントチューブの先端のパンタグラフの形態がより強度の強い材質に変更出来れば自然抜去などが起こりにくいと考えられ次年度に向けてさらなる改良を行っている。また、シャントチューブを挿入するときの外套の内面の滑りをよくするためにコーティングをする試みも検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年が科研費の3年目に当たります。現状での穿刺キットはほぼ完成型が出来ましたが穿刺キットの内筒と外套の間をバルブ付きシャントチューブがスムースに通過できるようチューブ外面のコーティングを施しました。また、穿刺時に羊水が穿刺用のチューブから流出しない様穿刺針の末梢部位に逆流防止弁を作成しました。最も重要なことはチューブが自然脱落しないことですが、この工夫を富士システムズ株式会社研究開発本部 特許室製品開発部と共同で開発し、シャントチューブ先端のパンタグラフ状形態を釣り針の先端同様にフック状に変更したことでシャントカテーテルを引っ張ったときの引き抜き圧が2倍まで強くなり、安定してチューブが保持できるようになりました。今年の実験では既にOtago大学の倫理委員会を通過し、6月に胎生60日に羊尿路閉塞モデルを作成します。その後3週間で今回作成した新しいバルブ付きシャントチューブを超音波ガイド下に子宮壁から拡張した膀胱内に挿入する計画を立てています。既に羊の交配は専門業者に依頼し、Wellington病院の動物舎にある手術室の予約も終了しています。麻酔器や手術道具は全て過去20年間の共同研究を行っているため揃っています。最終的に9月の15日に満期出産を迎えるため7月に挿入した膀胱羊水腔シャントチューブの効果を確認することが可能となっています。今回のシャントチューブの圧調整バルブ機構と先端の釣り針様の形態の工夫は特許申請が行える可能性があるため現時点での公表は差し控えている状態です。
|
Causes of Carryover |
オタゴ大学への支払い金額がレートの変動により、予定していた金額をオーバーしてしまったため、次年度の予算と合わせて支払うこととなったため。
|
-
-
-
[Journal Article] 羊胎仔の各胎生の腎における尿管芽の役割についての検討2018
Author(s)
川口皓平, 川口拓哉, 大林樹真, 小池淳樹, 眞鍋周太郎, 長江秀樹, 高木正之, 関保二, Jane Zuccollo, Kevin C Pringle, 北川博昭
-
Journal Title
発達腎研究会
Volume: 26
Pages: 20-23
Int'l Joint Research
-
[Journal Article] The role of the ureteric bud in the development of the ovine fetal kidney.2018
Author(s)
Kawaguchi Kohei, Obayashi Juma, Kawaguchi Takuya, Koike Junki, Seki Yasuji, Tanaka Kunihide, Ohyama Kei, Nagae Hideki, Furuta Shigeyuki, Takagi Masayuki, Pringle KC, Kitagawa Hiroaki.
-
Journal Title
Journal of Pediatric Surgery
Volume: 53
Pages: 2502-2506
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
[Presentation] The role of ureteric buds in the kidneys of each embryo of the sheep fetus.2018
Author(s)
Kawaguchi Kohei, Kawaguchi Takuya, Obayashi Juma, Koike Junki, Seki Yasuji, Tanaka Kunihide, Ohyama Kei, Nagae Hideki, Furuta Shigeyuki, Takagi Masayuki, Pringle KC, Kitagawa Hiroaki
Organizer
The 51st Annual Meeting of the Pacific Association of Pediatric Surgeons.
Int'l Joint Research
-
-
-
[Presentation] 長期中心静脈栄養管理中に認めた腎障害症例の検討2018
Author(s)
川口皓平, 川口拓哉, 大林樹真, 大山慧, 長江秀樹, 古田繁行, 脇坂宗親, 斉藤陽, 小板橋賢一郎, 小池淳樹, 北川博昭
Organizer
第55回日本小児外科学会学術集会
-
-