2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11527
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永野 裕介 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (30600168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
テルカウィ アラー 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (00723074)
角家 健 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (30374276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 末梢神経損傷 / 軸索再生 / マクロファージ / シュワン細胞 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マクロファージ、繊維芽細胞の亜型による軸索再生効果の違いを明らかにし、軸索再生に最適な細胞を、シュワン細胞も含めて複数種移植することによって、末梢神経の軸索再生に有効な複合細胞治療方法を確立することである。2年目である今年度の目的は、末梢神経損傷後のM2マクロファージの時空間的変化を明らかにすること、末梢神経組織からの線維芽細胞作成方法の確立である。ラット坐骨神経の圧挫モデルと多重免疫染色を使用して、軸索再生、総マクロファージ、M2マクロファージの時空間的な変化を観察した。B3tubulinでの軸索の標識は、ワーラー変性中の軸索も染色され、急性期の軸索評価が困難であったが、SCG10による標識は、再生軸索のみ染色され非常に有用であった。総マクロファージは損傷後1日目から出現し、1週目から4週目まで、同様の細胞密度で存在したが、空間的相違はなかった。M2細胞は損傷後3日目から出現し、2週目をピークとして出現していたが、経時的に損傷部近傍から遠位へと移動し、SCG10で標識される軸索再生部位と比較的一致していた。今回の知見を、昨年度に観察したM2マクロファージは軸索再生効果を有するという知見と併せると、M2マクロファージが軸索再生を制御しているという仮説を持つに至った。また、線維芽細胞に関しては、様々な条件検討を重ね、神経実質から線維芽細胞を高い純度で、抽出、培養する手法を確立した。現在、感覚神経細胞との共培養による神経突起伸長効果を検討中である。これらの成果を踏まえて、来年度はM2マクロファージと線維芽細胞に関する更なる検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、マクロファージ、繊維芽細胞の亜型による軸索再生効果の違いを明らかにし、軸索再生に最適な細胞を、シュワン細胞も含めて複数種移植することによって、末梢神経の軸索再生に有効な複合細胞治療方法を確立することである。独自に開発した、ラット坐骨神経損傷モデルを使用して、M2マクロファージは軸索再生効果を持つが、M1マクロファージは持たないこと、M2マクロファージの出現部位は、軸索再生部位と比較的一致していることを明らかにし、軸索再生に至適なマクロファージの亜型はM2である知見を固めつつある。また、神経周膜、神経実質からそれぞれ線維芽細胞を高い純度で抽出、培養する手法を確立し、神経細胞との共培養中であり、軸索再生に有利な線維芽細胞の亜型を確定しつつある。以上のことより、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、感覚神経細胞との共培養系による神経突起伸長評価と、独自に開発した軸索再生評価動物モデルを使用して、軸索再生に優れる線維芽細胞の亜型を確定する。その結果をもとに、マクロファージ、シュワン細胞、線維芽細胞の複合細胞移植を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費を他の財源で賄う事が出来たため、次年度に繰り越した。その分を国際学会参加に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)