2019 Fiscal Year Research-status Report
原発性リンパ浮腫患者に対する新たな治療法の開発(サイトカインを標的とした治療)
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17K11544
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三上 太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (90315804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
涌井 広道 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10587330)
矢吹 雄一郎 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30610357)
前川 二郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244449)
吉見 竜介 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70585265)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原発性リンパ浮腫 / 発症機序 / 血清学的検査 / 阻害薬 / 内服治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で得られた結果は、2018年度に preliminary report の形での報告論文として投稿した。2019年度においては、当該論文が査読を受け、 revise して Lymphatic research and Biology 誌に掲載されるまでの作業を行った (Lymphat Res Biol. 2019 Nov 21. doi: 10. 1089/lrb. 2019.0046. Online ahead of print。)。 本研究の最終目的は(1)原発性リンパ腫発症メカニズムの仮説提唱をすること 並びに(2)原発性リンパ浮腫に対する新たな治療法としての Factor X (TNF-α)阻害薬の効果を検討すること である。ここで、(2)については(1)がある程度の認知、認証を得ていることが前提であった。このためまず、2017及び2018年度は(1)に注力した。具体的には、対照として続発性リンパ浮腫患者から得られた組織検体を、原発性患者からの組織検体と同様に各種染色(通常のヘマトキシリン-エオジン染色のほかに、各種サイトカインや炎症マーカーに対する免疫組織化学的染色を含む)で処理し、それぞれの組織学的な共通点と差異を検討した。 この結果、TNF-α については原発性リンパ浮腫において(続発性リンパ浮腫と比較して)有意に集合リンパ管平滑筋層に沈着を認めた。 以上の結果より、「原発性リンパ浮腫発症に TNF-αを中心とした炎症が関与しているという仮説」を2018年度内に論文の形で提唱した。2019年ではこの論文が査読を受けた後、幾つかの修整が行われて、上記の如く掲載に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当病院の倫理委員会で臨床研究計画書を通過させるにあたり必要な、説得力のある根拠として,上記のごとき論文化されたデータが不足している状態であった。 論文は2019年11月に受領/掲載され,既存のTNF-α阻害薬の製薬会社と,保険適用外使用についての検討のため連絡を取っている状況である。場合によっては院内での先進医療推進の許可取得や,医師主導型治験なども視野に入れている。しかしながら,2019年末からの COVID-19 蔓延の影響により各種会議をふくめてなかなか進捗しない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、臨床研究計画を作成し,当院の臨床研究に関する倫理委員会へ提出する予定である.通過した後は、予定通りに臨床研究を遂行する方針である。横浜市立大学附属病院および大学の各機関との調整が必要になり、準備中である。
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Causes of Carryover |
2020年4月現在で,本研究は目標未達の状態であり,実際に臨床へのTNF-α阻害薬適用が開始できていない.研究の遅延は本研究の施行根拠となる論文の受領,掲載に時間が掛かったことと,研究代表者の転勤,および新規感染症 (COVID-19) の蔓延が原因である. 研究資金は臨床研究計画作成のための事務費用や薬剤(サンプルを含めた)購入に使用することを計画している.
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Research Products
(1 results)