2019 Fiscal Year Research-status Report
瘢痕環境下における表皮角化幹細胞動態解析と創傷発生メカニズムの検討
Project/Area Number |
17K11545
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松崎 恭一 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (20278013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 大輔 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10380255)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 瘢痕 / 表皮角化細胞 / 幹細胞 / 培養表皮 / 創傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
瘢痕組織の真皮上に培養表皮シートを移植した場合、正常皮膚の真皮に培養表皮シートを移植した場合に比べ、表皮角化細胞の分化マーカーの発現が遅れることから(参考文献)、瘢痕組織は表皮角化細胞の増殖や分化に影響を与えていると考えられる。本研究では、瘢痕組織が表皮恒常性維持に係わるヒト表皮角化幹細胞動態に影響を与える可能性について検討するため、ヒト瘢痕組織の採取と、それを用いた細胞生物学的実験法の確立が必須であった。これまでに正常部位4例、瘢痕部位5例の皮膚試料を得ることができた。これらの皮膚試料は-80度で保存することで、細胞活性をほぼ消失させた。得られた皮膚試料から、3次元皮膚モデルを作製した。方法は以下のとおりである。①ディスパーゼ処理によって表皮と真皮を乖離する。②真皮の表皮側面に、正常ヒト皮膚由来の表皮角化細胞を播種する。③気相・液相界面で培養を行い、角層を含む3次元皮膚モデルを作製する。以上の方法で、患者由来真皮組織を用いた3次元皮膚モデルを作製することができた。 参考文献 Kadoya et al., Changes in the expression of epidermal differentiation markers at sites where cultured epithelial autografts were transplanted onto wounds from burn scar excision. Int Wound J 13: 412-417, 2016.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を遂行にするのに十分な正常および瘢痕皮膚試料を入手でき、得られた皮膚試料の真皮組織と正常ヒト表皮角化細胞を用いた3次元皮膚モデルの作製に成功した。この部分は本研究計画の中心となる部分であり、また最も困難が予想される部分であった。3次元皮膚モデルを用いた研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
患者由来皮膚試料の真皮組織と正常ヒト表皮角化細胞を組み合わせた3次元皮膚モデルを使用し、瘢痕部位の真皮を用いた3次元皮膚モデルに比べて、正常ヒト表皮角化細胞から形成された表皮組織が、正常部位の真皮を用いた場合とどのように異なるかを、特に基底膜部に着目して解析する。現在、組織化学の手法を用いて明らかにする研究を遂行中である。さらに今後は、表皮細胞の分化のマーカーであるfilaggrin、transglutaminase、cytokeratin 6、involucrinの発現を確認するとともに、皮膚の質感を左右するfibrillin-1とelastinの発現解析の研究も推進したい。
|
Causes of Carryover |
研究成果は順調に進んでおり、国際学会ならびに誌上での研究成果発表に使用したい。
|