2017 Fiscal Year Research-status Report
新たなケロイド治療法開発を目指した新規ケロイド幹細胞維持機構の解明
Project/Area Number |
17K11557
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
土佐 眞美子 日本医科大学, 医学部, 助手 (30301568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 芳憲 日本医科大学, 付置研究所, 助手 (00386153)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ケロイド / 幹細胞 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケロイドは動物モデルが確立されていないため、その発生メカニズムの解明や特効薬の開発には至っていない。主に線維芽細胞に注目した研究が進んでいるが、他の細胞あるいは環境の関与が報告され始めている。 組織幹細胞は、組織の損傷が生じた際の修復過程や組織恒常性の維持にも関与する。 近年、組織幹細胞の異常が、癌化や慢性炎症による線維化などを引き起こすことが報告されている。皮膚真皮にも幹細胞が存在することが知られており、最近では、創傷治癒過程は幹細胞が主役を担っているとする報告もある。従って、皮膚幹細胞の異常が創傷治癒過程の異常であるケロイド発生に関与している可能性はとても高い。そこで、われわれは、ケロイド患者のケロイド部(①ケロイド発赤部と②ケロイド肥厚部)と③正常真皮から幹細胞を培養し、④ケロイドを認めない健常人の真皮から得た幹細胞の遺伝子発現と比較検討した。平成29年度は、①-④から幹細胞様細胞を培養し、得られた各幹細胞様細胞の増殖能や形態の特徴を検討するともに、各細胞から、total RNAおよび蛋白を抽出し、幹細胞関連遺伝子発現について比較検討した。その結果、①から④の各細胞は増殖能も形態的にも特徴があり、幹細胞関連遺伝子発現にも、違いが認められた。 また、われわれが注目しているA遺伝子の発現は④と比較して①-③で有意に高く、 A遺伝子が関与するシグナル関連遺伝子の発現も同様であった。A遺伝子をターゲットとした治療薬を細胞に作用させると、ケロイドで高発現を認めた遺伝子発現は抑制された。現在、マイクロアレイ法にて①-④の遺伝子発現プロファイルの網羅的解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
皮膚組織から、幹細胞様細胞を安定して培養するまでに、予定より時間がかかったため
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイの結果から、ケロイドで特徴的な遺伝子発現プロファイルをピックアップして、それらの上流にある遺伝子やシグナルなどとの関連性を検討し、ケロイド予防あるいは治療標的となりうる遺伝子の発見を目指す。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイ解析結果の納品が平成29年度中に間に合わなかったため、その支払い分が平成30年度に持ち越されることになったため。
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