2017 Fiscal Year Research-status Report
心停止後症候群モデルにおけるケミカルシャペロンの効果
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17K11568
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡島 正樹 金沢大学, 附属病院, 講師 (00361999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 巧 金沢大学, 医学系, 教授 (30301196)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心肺停止 / ケミカルシャペロン / 小胞体ストレス応答 / フェニル酪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
心肺蘇生の普及などにより、心肺停止患者の生存率や社会復帰率は増加傾向にあるが、いまだ十分とは言えない。その原因は心停止後症候群にあり、なかでも心停止後脳障害、心停止後心筋障害が生命予後および神経学的予後を左右する病態である。この虚血再灌流障害を本態とする心停止後症候群には小胞体ストレス応答が大きく関与しており、これをケミカルシャペロンにてコントロールすれば、心停止後脳障害や心筋障害が軽減し、大きな社会貢献につながるのではないかと着想した。我々はすでに心筋虚血再灌流障害モデルにおいて、ケミカルシャペロンである4-フェニル酪酸(4-PBA)の効果を報告した。今後、非心原性および心原性心肺停止モデルにおいて、4-PBAが心停止後脳障害および心筋障害を軽減するか否かを検討する。まずは、ラット非心原性心肺停止モデルにおけるケミカルシャペロンの効果およびメカニズムを解明する。窒息による心肺停止蘇生モデルにケミカルシャペロンである4-PBAを投与し、運動機能評価や超音波検査による心機能評価、TTC染色による脳や心筋障害の程度や、TUNEL染色による神経および心筋細胞アポトーシスの程度の評価を行うため、そのモデル確立を試行している。人工呼吸器を停止し、心肺停止を確認後、心肺蘇生術を開始し、3分以内に自己心拍再開したマウスを用い、3分以上経過しても自己心拍再開しなかったマウスは除外する。生存するマウスの確保とその質を維持するため、胸骨圧迫の手技はモデルの均一性を保つことが重要であり、そのために安定した心肺停止蘇生モデルを作成することを試行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
他業務による時間的制約のため、予定が遅れ、現在モデル作成の確立を試行してる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、非心原性心肺停止について検討する。ラット非心原性心肺停止モデルを作成し、4-PBAが蘇生後の脳および心臓の障害を軽減するか否かを検討することを目的とする。具体的には、窒息による心肺停止蘇生後の急性期に4-PBAを投与し、神経および心機能の改善の有無の検討、脳および心臓の器質的傷害の組織学的検討(梗塞やアポトーシス)の検討を行う。その後、心原性心肺停止について検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、ラット非心原性心肺停止モデルにおいて、4-PBAが蘇生後の脳および心臓の障害を軽減するか否かを検討することを目的としていた。具体的には、窒息による心肺停止蘇生後の急性期に4-PBAを投与し、神経および心機能の改善の有無の検討、脳および心臓の器質的傷害の組織学的検討(梗塞やアポトーシス)の検討を行う予定であった。しかし、生存するマウスの確保とその質の均一性を維持する予想以上の困難さに加え、他業務による時間的制約のため、予定が遅れ、現在モデル作成の確立を試行している。安定したモデルを速やかに確立し、窒息による心肺停止蘇生モデルにケミカルシャペロンである4-PBAを投与し、運動機能評価や超音波検査による心機能評価、TTC染色による脳や心筋障害の程度や、TUNEL染色による神経および心筋細胞アポトーシスの程度の評価を行う予定である。
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