2018 Fiscal Year Research-status Report
ラット低体温モデルを用いた高度低体温の膵傷害と軽度低体温の膵保護効果の機序解明
Project/Area Number |
17K11580
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
井上 弘行 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30721568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 敬介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00560004)
文屋 尚史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50721586)
成松 英智 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70295343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低体温モデルの確立 / 膵傷害 / 血清学的検討 / 組織学的検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の背景は、偶発性低体温症例において、血清アミラーゼ値の上昇や急性膵炎の合併をしばしば経験し、急性膵炎を発症すれば管理に難渋する。しかしその機序については未だ明らかにされていない。近年の研究で低体温が膵組織を保護するとした報告があるように、体温の低下が膵に保護的に作用するのか、あるいは臨床像のように膵損傷を引き起こすのかに関しても明らかではない。また、偶発性低体温症による急性膵炎は経過も画像所見もアルコール性膵炎とは異なる印象がある。本研究ではラット低体温モデルを作成し、血清学的及び組織学的に、低体温が膵に与える影響を調べる。膵傷害を呈するのであれば、膵傷害をきたし得る体温、および低体温の膵に及ぼす傷害の機序を解明する。現在までに行っている研究は、ラット低体温モデルを実際の偶発性低体温の体表冷却を鑑みて、体表アイスパック接触により作成し、各体温グループ(常温群(36℃~38℃)、軽度低体温群(33℃~35℃)、中度低体温群(30℃~32℃)、高度低体温群(27℃~29℃))に割り付け、低体温導入前の血液と体温到達後1時間経過後の血液と膵組織採取を行った。これまでのところ、低体温モデルを確立することができ、各群n=5ずつのデータ採取を予定通り終了している。今後は、血液データ(膵逸脱酵素、サイトカインなど)を一般検査やELISAで検査値を出し、統計学的に検討する予定である。また、H-E染色およびTUNEL染色を作成した膵組織を顕微鏡で観察し、組織学的に低体温による組織変化を評価し、血清学的所見と合わせて考察していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに研究を進行させている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は血液データ(膵逸脱酵素、サイトカイン)を一般検査およびELISAを用いて測定し、統計学的に検討する。また、H-E染色、TUNEL染色をした膵組織を顕微鏡で観察し、組織学的に低体温による組織変化を確かめる予定である。
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Causes of Carryover |
血液検査をルミネックス法を採用したためコストを抑えられた。使用計画は統計処理、学術報告の準備および発表の費用などである。
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