2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel strategy of circulatory management of septic shock with modulation of beta adrevergic stimulation.
Project/Area Number |
17K11599
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
鍬方 安行 関西医科大学, 医学部, 教授 (50273678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室谷 卓 関西医科大学, 医学部, 講師 (20528434)
池側 均 関西医科大学, 医学部, 准教授 (80379198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 敗血症性ショック / ノルアドレナリン / endotoxin / 腸管粘膜血流 / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はウサギ敗血症性ショックモデルに対するノルアドレナリンの腸管循環系への作用を研究した。臨床において、2016年日本敗血症診療ガイドラインでは、敗血症性ショックに対する循環作動薬はノルアドレナリンが第一選択薬とされている。しかし、臨床において、ノルアドレナリンを必要としている敗血症性ショック患者が、非閉塞性腸間膜虚血症の経過をたどることをしばしば経験するため、昨年度はウサギを用いて敗血症性ショックモデルを作製し、ノルアドレナリンが腸管循環系に与える評価を行った。New Zealand White rabbit ♀(2.5~3.3㎏)を用いて①コントロール群、②LPS群 ③ノルアドレナリン群 ④LPS+ノルアドレナリン群をn=5で作成した。測定項目は、baselineから240分まで30分おきに、平均動脈血圧、心拍数、心拍出量、SMV血流量、IVC血流量、空腸の組織血流を測定した。 結果を2元配置分散分析・多重比較を行った。 LPS投与により、経時的に血圧・心拍出量の低下を認めた。SMV血流量は一旦減少するがその後上昇に転じ、空腸粘膜組織血流も同様の経過を示した。 ノルアドレナリン投与により、体循環の血流には大きな影響は与えなかった。しかし、SMV血流量は減少しないにも関わらず空腸粘膜血流は徐々に減少し240分の時点で有意に減少した。このことから、LPS投与下のウサギ敗血症性ショックモデルにおいて、ノルアドレナリンは、空腸粘膜組織血流を悪化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル動物の循環動態の不安定化が生じ、予定よりも多くの時間を割く結果となった。上記の結果を導くことができていたが、データのばらつきに問題があり、モデル動物作成の手順の見直しを行った結果、ノルアドレナリン投与の実験を中心に行うこととなった。ランジオロールの当該実験に適した投与量の決定に時間を要しており、計画遅延の一因となっている。一方で、LPS、ノルアドレナリンがそれぞれ独立した腸管粘膜血流低下の因子になると考えうる結果を得ており、付随的な新知見になる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は実験手技が定着していないこともあり、実験準備の間に出血量の変化、baseline の血圧にもばらつきを生じた。今年度は実験モデルを安定させ、ノルアドレナリンに加え、塩酸ランジオロールの投与を行い、呼吸循環の評価を行う予定である。結果については、2019年度日本救急医学会総会に報告予定とし、その後論文作成に取り組む方針である。
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