2018 Fiscal Year Research-status Report
来院時心肺停止患者における赤血球表面上の補体沈着とその侵襲の評価
Project/Area Number |
17K11600
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
室谷 卓 関西医科大学, 医学部, 講師 (20528434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍬方 安行 関西医科大学, 医学部, 教授 (50273678)
池側 均 関西医科大学, 医学部, 准教授 (80379198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 補体 / 赤血球 / 重症度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は重症患者の赤血球を用いてその表面上に沈着する補体成分を測定し、数値化するものである。補体成分の蓄積量は患者本人の免疫反応に起因するものであり、傷病の重症度を反映する可能性がある。心肺停止患者で蓄積量の多いものが存在し、病態や変化との関連を明らかにする目的がある。心停止患者のRBC上に補体沈着が多いであろうと予想されることに着目し、特に他の重症疾患と比較し生存例に関しては経時的な変化を見ることも目的とされた。 平成30年度までに測定可能であった心肺停止患者の検体は15例であったがいずれも蘇生後24時間以内の死亡となり、入院後の補体成分の経時的変化の測定は不可能であった。また、他の重症疾患との比較測定を行っており、それらを合わせた救命センター来院患者の補体沈着の傾向を測定した。コントロールとして健常成人の赤血球補体成分の測定も行っており、研究日ごとの違いを補正しているため健常成人との比較も行った。 患者背景は全70例で平均年齢は67±18歳で41例(59%)が男性であった。疾患別では感染症16例、心停止15例、頭蓋内出血10例、外傷8例であった。重症度を示すAPACHEⅡスコアは平均17で、SOFAスコアは4.8であった。 心肺停止も含めた救命センター傷病者は健常成人と比較すると有意差をもって赤血球上の補体沈着が見られる。心肺停止に限っても有意に患者赤血球上に補体沈着が見られることが解析で明らかになった。また、患者赤血球上の補体成分の量は既存のマーカーである白血球数や血清乳酸値、base excessなどとの相関がみられることが明らかとなった。来院時の患者の状態との相関がみられたが既存の重症度のスコアであるAPACHEⅡ、SOFAとは残念ながら相関は見られなかった。 経過については平成30年度、第46回日本救急医学会総会に報告済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心停止患者の検体収集の必要があるが、検体収集後は赤血球の保存がきかないために速やかに実験を行う必要があるが、実験体制が限られており実験準備を行っている際にのみ実験可能であるという制約がある。しかしながら心停止以外の重症患者の解析も同時に行っており、それらも合わせ、やや遅れているという評価となる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度も同様に患者検体の収集と実験を行う。また、最終年度であるため結果のまとめと報告にも注力し、日本救急医学会をはじめとして発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は実験器具の購入もスムーズに行い、当初、実験計画通りに進むことができていただが、やや、検体の収集がままならず、実験は計画よりも遅れがちになっていた。また、昨年度開始時点で前年度繰越金が予定より多く、初年度の計画が遅れたことによる遅れを取り戻すことができなかった。来年度は最終年度であり、実験の遅れを取り戻すとともに解析を加えることにより、発表も含めて計画通りの執行を目指したい。
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Research Products
(1 results)