2017 Fiscal Year Research-status Report
中心静脈圧波形を用いた経肺圧評価の有用性に関する基礎的研究
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17K11605
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
竹内 宗之 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 集中治療科・主任部長 (00774647)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 急性呼吸窮迫症候群 / 経肺圧 / 食道内圧 / 中心静脈圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症急性呼吸窮迫症候群に対し、経肺圧(肺の内外圧差)を測定することに基づいた呼吸器設定を行うことで、肺傷害や死亡率が低下する可能性が示されている。経肺圧測定の現在の標準的手法には、食道内圧測定が必要であるが、手技が煩雑で誤差も大きいため臨床で普及していない。そこで、本研究では、中心静脈圧(CVP)波形を我々の考案した簡単な方法で補正することで経肺圧測定に利用でき、その結果が、食道内圧測定に基づく経肺圧と同等または、より正確であるという仮説を動物実験で証明することを目的として開始した。 補正方法は以下のとおりである。気道を閉塞したときには、肺の容量が変化しないために、外的な胸郭の圧迫による胸腔内圧の変化はそのときの気道内圧の変化と一致する。そこで、気道閉塞時のCVPの変化と気道内圧(つまり胸腔内圧)の変化の比率を求め、それが短時間の間では一定であるとすれば、食道内圧測定用のバルーンカテーテルを用いずに、CVP波形から胸腔内圧の変化を類推し、経肺圧を計算できると考えた。 実験は、酪農大学で行った。2017年度中に10頭のブタを用いた。全身麻酔・挿管・調節呼吸管理下におかれたブタを用い、食道内圧測定のために食道にバルーンカテーテルを挿入し、胸腔内圧の実測のために圧測定カテーテルを胸腔内に直接挿入し、それらを気道内圧と同時に測定した。まず、呼吸障害モデルを作成するために、肺洗浄を行い、その後、気道閉塞法施行時のCVPと気道内圧の変化(= 胸腔内圧の変化)の比率を補正係数として求めた。CVPは腹圧や血管内容量の増減に影響されるので、各ブタにおいて、腹圧を2通り、血管内容量を3通り変化させて、それぞれの条件下で、補正係数を用いCVPから胸腔内圧を予測し、経肺圧を求めた。それらを同時に測定した食道内圧や胸腔内圧から求める経肺圧と比較した。 現在得られたデータの解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験モデルの作成に時間を要すると当初は予測していたが、実際には、研究者の過去の研究での経験が生き、全く問題なく、本実験を開始することができた。 また、実験のプロトコールを行う中で、以下の検討が可能であった。 これまで、食道内圧の絶対値は、誤差が大きく信頼できないと言われていたが、最近、食道内圧絶対値測定の校正方法が開発された。これまで唯一、絶対値を表示する食道内圧測定器(AVEA)が存在し、本実験でも使用したが、その校正方法は開示されていなかったため、その絶対値の信頼性には疑問があった。そこで、AVEAの食道内圧の絶対値の示す精度を、新たに開発された校正方法を用いて、検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータを解析し、まず学会発表を行う。海外での発表を目指している。 それと同時に論文の作成に取り掛かる。論文の作成に際し、国内外での学会での情報収集が必要である。
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Causes of Carryover |
モデル作成のためにブタを何頭か必要ではないかと考えたが、実際には、モデル作成のためのブタは必要なかったので、物品費が予想を下回った。 その分は、今年度以降の、資料集めや、学会発表、などに使用する。 また、追加実験をする可能性もある。
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