2018 Fiscal Year Research-status Report
Supt3の骨格形成における機能とRunx2プロモーターとの相互作用の解明
Project/Area Number |
17K11617
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松尾 友紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (40792601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小守 壽文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00252677)
宮崎 敏博 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10174161)
森石 武史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20380983)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Supt3 / Runx2 / 胎生致死 / 間葉系幹細胞 / 造血 |
Outline of Annual Research Achievements |
Supt3は、HAT活性を有するSTAGAの構成成分の一つで、転写共役因子である。Runx2は、骨芽細胞の分化および軟骨細胞の後期分化に必須の転写因子であり、遠位(P1)と近位(P2)の2つのプロモーターで発現が制御されている。Supt3のプロモーターおよびエクソン1、2は、Runx2 P1、P2プロモーターの間に位置する。3C解析により、Runx2 P1プロモーターとSupt3プロモーターは骨芽細胞促進に伴い相互作用する頻度が上昇すること、Runx2 P1プロモーターとSupt3プロモーターを同時に導入することにより、レポーター活性が誘導されることから、Supt3とRunx2のプロモーターは相互作用すると考えられる。そこで我々はSupt3ノックアウト(KO)マウスを作製し相互作用による骨形成および造血への影響について解析を行った。 当該年度は、Supt3の胎児型造血、心臓発生、間葉系細胞の増殖におけるターゲット遺伝子の解明を目的として、野生型とKOマウスの各組織を用いたCAGE解析、ChIP-seq解析でのターゲット遺伝子の探索を行った。KOマウスは、胎生10.5日付近で死亡するため、胎生9.5日で卵黄嚢、心臓、体幹のサンプル収集を行った。CAGE解析は完了したが、ChiP-seq解析については解析データが得られなかった。これは、KOマウスの極度の矮小化のため、ChiP-seq解析に十分なサンプル量を得られていなかったことが考えられる。このため、再度KOマウスのサンプルの収集、およびChIP-seq解析を行っている。また、KOマウスの中で1%程度生存するため、それらの各組織サンプルを収集し、大腿骨ではマイクロCT解析による骨形成の影響、脛骨および心臓などの軟組織については、組織解析を行い、骨形成、心臓形成およびその他各組織について比較解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Supt3 KOマウスが胎生10.5日程度で胎生致死となること、また極度に矮小化しているため、ターゲット遺伝子解明のためのChiP-seq解析に十分なサンプルを得られることができず、サンプル収集および再解析を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.心臓、体幹、卵黄嚢のChiP-seq解析を行い、心臓発生、間葉系細胞増殖、造血に関わるSupt3のターゲット遺伝子をCAGE解析結果と合わせ総合的に推定し、リアルタイムPCRによりターゲット遺伝子を同定する。 2.生体まで生存したKOマウスの大腿骨について、リガク マイクロCTを用いて、海綿骨量および皮質骨厚を測定する。 3.CRISPR/Cas9 システムによりSupt3 floxマウスを作製する。 4.作製したSupt3 floxマウスと間葉系細胞特異的Dermo1 Creノックインマウス、軟骨細胞特異的Col2a1マウスと交配し、Supt3 cKOマウスを作製する。胎生12.5日にて、間葉系細胞の凝集を観察するとともにBrdUラベルで細胞増殖、TUNEL染色でアポトーシスを調べる。また、1で同定した間葉系細胞増殖に関わるSupt3ターゲット遺伝子の発現をリアルタイムPCRで調べる。 5.作製したSupt3 floxマウスと骨芽細胞特異的Col1a1プロモーターGFP-Cre tgマウスと交配、Supt3 cKOを作製し、骨芽細胞分化マーカー遺伝子Runx2, Col1a1, Sp7, Spp1, Bglap2の発現をリアルタイムPCRで調べる。
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Causes of Carryover |
Supt3 KOマウスが胎生10.5日で致死となるため、CAGE解析及びChiP-seq解析に用いる心臓、体幹、卵黄嚢のサンプルを胎生9.5日で収集しているが、極度に矮小化しているため、解析に十分なサンプルの収集に時間を費やしているため。 次年度使用計画として、ChiP-seq解析(ChIP用試薬、抗体購入)、Supt3ターゲット遺伝子同定のリアルタイムPCR(RNA抽出試薬、逆転写酵素、リアルタイム関連試薬購入)、生存KOマウスの組織解析(組織解析用試薬購入)、Supt3 floxマウス作製(カスタムオリゴ、in vitro transcriptionキット、制限酵素等の購入)を行う。またマウスの維持費用に使用する。
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