2018 Fiscal Year Research-status Report
Histopathological diagnostic criteria of oral mucosal precancerous lesions
Project/Area Number |
17K11619
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
仙波 伊知郎 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60145505)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 香織 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10343526)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 前癌病変 / 口腔粘膜 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】2011年以降に前癌病変等と病理診断された症例から94例(上皮肥厚64例、上皮内癌30例)を抽出し、病理組織像の再評価と免疫染色マーカーとしてCK13とCK17(細胞分化)、Ki-67(細胞増殖)およびTP53(がん抑制遺伝子変異)の発現パタンを評価し、正常相当か異常所見かにカテゴリ分類し、上皮内癌と上皮肥厚の判別についての有用性を多変量解析(尤度漸増法による二項ロジスティック回帰分析)で検討した。解析にはSPSS Medical Model (Ver 24, IBM)を用いた。 【結果】ロジスティック回帰分析では、Ki-67(第1層)、Ki-67(多層化)、TP53(多層化)、CK17(第1層以外)、CK13(境界形成)の5項目が有意な因子であった。上皮内癌と上皮肥厚の判別は感度100 %、特異度92.2 %であり、全体の的中率は94.7 %であった。5例の上皮肥厚は免疫染色パタンからは上皮内癌と分類された。 【考察】上皮内癌と上皮肥厚の鑑別には上皮基底層のKi-67陽性細胞の発現比率、Ki-67陽性細胞の多層化、TP53陽性細胞の多層化、CK17発現およびCK13陰性境界形成の染色パタンを総合することが有用であり、少数因子では不十分で、特異度や的中率が90%を超えるには少なくとも4種類のマーカーが必要である。その中でもKi-67の発現パタン変化は、各漸増ステップで有意確率が0.05以下と有意であり、有用なマーカーと考えられる。 上皮内癌の分類感度は100 %であり、複合的な免疫染色結果がHE染色の形態診断を補完する有用な基準となりうる可能性を示唆しており、さらに、異なる分類となった症例は今後詳細に再評価するが、上皮肥厚の診断上のピットフォールとなる異型に乏しい高分化型扁平上皮癌の可能性があり、免疫染色結果から形態診断にフィードバックできる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回は、上皮内癌と上皮肥厚症例の検討を行い、有用な免疫染色マーカー確認が出来た。 現在、上皮異形成症例を追加し、同様の検討を既に開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、免疫染色マーカーの内、p53については免疫染色結果と遺伝子変異との関係を確認するため、遺伝子変異を網羅的に確認できるアレイ検索を行い、免疫染色結果に反映し、より精度の高い診断基準とする予定である。
|
Research Products
(1 results)