2017 Fiscal Year Research-status Report
TANGOによる口腔癌の転移前ニッチ形成機構の解明
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17K11621
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
笹平 智則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90405374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 都 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40453170)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔癌 / TANGO |
Outline of Annual Research Achievements |
転移能を持ったがん細胞になるためには、絶え間ない遺伝子変化を伴い転移に好都合な細胞形質を獲得することが不可欠である。このためがんの転移はランダムに起こるわけではなく、実際に転移を引き起こすがん細胞は原発腫瘍のごく少数であると予想される。 TANGOは申請者らが口腔癌を含む扁平上皮癌における新たな転移促進因子として同定した分子である。昨年度は、網羅的発現解析を行うことでTANGOに関連した複数の新規候補を見いだした。それらのうち分子AはTANGOと協働し、口腔癌の浸潤を促進することを見いだした。口腔癌材料を用いた免疫組織化学では分子Aを高発現する症例は非発現症例と比較して有意に予後不良であり、多変量解析において独立した予後不良因子となる可能性が明らかとなった。なお分子Aを発現する癌細胞はcancer stem cellとしての性質を有する可能性があるため、現在解析を急いでいる。また分子Bはin vitroの検討において、口腔癌細胞株と血管・リンパ管内皮細胞と相互作用し、微小環境を制御することで口腔癌の進展に関与していた。なお免疫組織化学において分子Bの発現レベルと臨床病理学的因子の間に有意な相関はまだ得られていないが、今後さらに症例数を増やして検討したいと考えている。上記以外にもいくつかのTANGO関連シグナル因子を見いだしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラフィン切片を用いた口腔癌原発巣における免疫組織化学による発現解析は、目標数には及ばないものの順調に進捗している。また細胞株を用いた発現・機能解析もほぼ予定通りに進められている。しかしながらパラフィン切片からの遺伝子抽出・発現解析に難渋しており、思った通りの解析が行えていない。さらに同一患者の原発巣に対応するリンパ節転移巣における免疫組織化学にもあまり着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなキットを用いてパラフィン切片からの核酸抽出を行ったところ、発現解析に用いることができるレベルの純度と収量の核酸を得ることができたため、今後はそのキットを用いて解析する予定にしている。 また原発巣と同一患者のリンパ節のサンプリングについてもほぼ目途がついたため、急いで解析を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
パラフィン切片からの核酸抽出に難渋し、十分な遺伝子発現解析が行えなかったため
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